競泳のノ・ミンサン元韓国代表監督(59)は先日、朴泰桓(パク・テファン、25)側から連絡を受け取った。「練習に力を貸してほしい」という内容だったという。ノ監督は朴泰桓の最初の「師」だ。朴泰桓はノ監督の指導で2008年の北京五輪など複数の国際大会で金メダルを手にし、競泳界における韓国の地位を確かなものにした。
しかし、ノ監督はかつての弟子からの頼みを聞くことも、断ることもできずにいる。ノ監督は5日、「まだ何も決まっていない。練習がしたいという朴泰桓の気持ちは分かるが、私が今、何かをするのは難しい」と語った。
朴泰桓は現在、選手資格が停止されている状態だ。昨年秋に禁止薬物の男性ホルモン製剤に陽性反応を示し、今年3月末にスイスのローザンヌで開かれた国際水泳連盟(FINA)聴聞会の結果、「選手資格18カ月間停止」という懲戒処分を受けた。ドーピング検査を受けた昨年9月3日から懲戒処分が解ける来年3月2日までの全大会に出場できず、韓国代表選手村を含めあらゆる公共施設で泳ぐことができない。朴泰桓はFINA聴聞会前の3月初め、国内のクラブチーム選手と韓国体育大学のプールで泳いだが、批判を浴びて数日で取りやめた。当時すでに「一時資格停止」中だったのにもかかわらず、国立大学の施設を利用したことが問題になったのだ。同大学にプール使用申請書を出したクラブチームの選手名簿に朴泰桓の名前がなかったことも明らかになった。朴泰桓は規定の目をかいくぐったということだ。
ノ監督は現在、ソウル市松坡区のソウル五輪公園内にある五輪プールで将来有望な選手たちを指導している。88年のソウル五輪競泳が行われた同プールは文化体育観光部(省に相当)傘下の韓国体育産業開発が管理している。一般開放されている施設だが、朴泰桓のケースは微妙な問題だ。ノ監督は「朴泰桓はまず自らを省みる時間を過ごすべきではないだろうか。後で私が朴泰桓の再起のため少しでも役に立てるかもしれない」と言った。大韓水泳連盟もFINAの規定を守る方針を明らかにした。チョン・イルチョン同連盟専務は「朴泰桓の懲戒処分が終わるまで、連盟としては手助けの方法がない」と述べた。