長崎市長が米大統領に被爆地訪問要請、米専門家は警戒

反核を主張してきた長崎市の田上富久市長
米国からは「日本の犠牲ばかりを強調している」「右翼に悪用されるのでは」などの声も

 長崎市の田上富久市長が4日に米ワシントンでガテマラー米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)と面会し、オバマ大統領の広島・長崎訪問を要請した。NHKが5日に報じた。面会後、田上氏は日本の記者団に「核兵器廃絶に向けて米国が協力すること、またオバマ大統領が広島と長崎を訪問し、被爆者と面会することなどを要請した」と述べた。田上氏はさらに「米国は要請を真摯に聞いてくれたと感じた」とした上で「ただし大統領のスケジュールは直前にならないとわからないようだ。これは関係者から聞いた」とも話した。

 核廃絶論者として知られる田上氏は、これまでも何度かオバマ大統領の広島・長崎訪問を要請してきた。2009年にオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した時は、市民の党に所属する秋葉忠利・広島市長(当時)と共に、当時の民主党(日本)政権に対して「オバマ大統領が広島と長崎を訪問できるよう、全力を尽くしてほしい」と要請した。また昨年8月9日の長崎原爆投下70周年記念式の際には「平和は武力によってもたらされるものではない」と訴え、安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認を間接的に批判している。

 しかし米国の外交・安全保障政策の専門家の中には、田上氏らの動きについて「日本の右翼による歴史修正主義を後押しする恐れがある」として警戒する声もある。日本は自らの過ちを反省しない一方で、自分たちの苦痛ばかりを強調しているが、それによって日本国民の間に「日本は犠牲者」というイメージが強まる恐れがあると指摘している。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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