鬼灯様が駒王協定時点でキレて乗り込んで来ました。 作:すじゃに
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一誠一人称。
地獄の使者が出張してきた。その1アレから俺は部長達や支取先輩合わせて悪魔や転生悪魔になった人達と共に引っ越しをした。
日本から一斉撤退という事で規模が大きく、安定した場所が無いも同然状態だったから、
暫くは冥界で滞在することが決まり、俺達は部長の家。
支取先輩とその眷属も支取先輩の実家。
という感じで上級悪魔の「
後、俺達は殆ど全員学生で、まだ勉強もしっかりと出来ていなかったからと、
4大魔王様が個人資産を出し合ってグレモリー家の領地に、
駒王学園そっくりの小~大学迄整った学校を作って、
日本の全都道府県に滞在していた悪魔学生は全員其処に入学、という状態で落ち着いている。
ってか転生悪魔って小学生も居たのか。
なんか流石の俺でも犯罪の匂いがして驚いた。
先生はアザゼル総督……もう総督を辞職してたっけ。
だから今はアザゼル先生。
あと他のアザゼル先生に付いてきた堕天使や、
日本に滞在していた教員悪魔が混在して存在していたりする。
……ハッキリ言ってあの時を思い出すと、
このまま冥界で勉強していくのが一番俺達悪魔にとって安心じゃないんだろうか?
その後、日本地獄からという古風な手紙……いや巻物か?が元日本人悪魔全員に届いてきて。
・人間であるご両親を心配させない程度に夏や年末年始には帰省を許可致します。
・その時は一か月前迄に此方まで文面で通達をする事。
・許可発行書が届いてから此方の地獄経由で来て頂いたら日本にお送りします。
という内容で、個人名と共にもっと丁寧な文章……かつ墨で書かれていた。
なんか達筆過ぎて凄く読み辛かったから部長に読んで貰ったりしてた。
もうちょっと書道とかにも力を入れておけば良かったのかもしれない。
書面の最後にはホオズキの逆さ印。
今じゃ俺、この植物のホオズキを見るだけでふっと意識が飛びかける。
部長も心なしか青褪めている感じだ。
あんな凄まじい光景を見ても青褪めるだけな部長って凄いと思う。
そんな中、なんか即行で出来上がっていった学校を見て。支取先輩が
「……私の目的とはちょっと違いますけど…………こんな形で冥界に学校が出来るなんて」
って遠い目をしていたのを匙が一生懸命励ましていた。
どうやら支取先輩は冥界にレーティングゲーム専用……というか、
転生悪魔や下級・中級悪魔が安心して通える魔法と教養を中心とした学校。
というのを作るのが理想だったらしい。
後で聞いた話なんだけど。
冥界だと実力社会主義の中に純血至上主義も混在している所為で、
魔力の少ない悪魔や俺達は相当格下扱いされていて、それを改善したかったんだと。
……支取先輩には悪いけどある意味8割位叶ったんじゃないかな?
この学校の構成員殆どが転生悪魔だし。
これに幼稚園を足して、冥界の子供悪魔達を入学させるのとか。
日本以外の地上に居る転生悪魔の勧誘とかを頑張れば良いんじゃないですか?
って言ったら支取先輩と匙が同時に輝いてコクコク頷いていた。
良い事を言ったな俺。
そう、そういえば俺にも物凄く大きな変化が起きた。
かなり減退してるみたいなんだ。主にエロス的なものが。
部長のおっぱいは今でも素晴らしい。朱乃先輩も素敵だと思っている。
小猫ちゃんもアーシアだって凄くカワイイ。ゼノヴィアだってちょいと難有りだけど美人だ。
だけど、なんかあの「
衆合地獄。後で調べたら
淫行罪ってのは性に対する罪だ。
つまり俺が想像していた通り、部長に出会う前の覗きなんかを指摘していたって事だ。
この世の悪行と善行を全て記録する神様って知った時もちょっと絶望してた。
俺のエロい妄想全開な人生全て記録されてたんかって。
もう俺は悪魔だからそんな衆合地獄なんて所に行かないし、
心配する必要なんか欠片も無いって不安になって相談した時に
部長に優しく言われたんだけど。
あの時の恐ろしいバリトンボイスと目つきが頭から離れなくなったんだ……。
思い出すと胃の辺りがキリキリ痛みだす。
でもそんな時部長や朱乃先輩やゼノヴィアとかアーシアとかに、
優しく抱きしめて貰うと凄くホッとする。
根本的な俺自身は変わっていないみたいだからそこは安心していた。
■■■■■■■■■■
ある日、学校から出て帰宅しようとしていた最中だったんだ。
校門の目の前で女の子が一杯集まっている。
なんだろう、って覗いたら其処にはなんか真っ白な服と三角巾のイケメンがニコニコしてた。
……何か思い出しそうな顔なんだけど。なんだろう最近のこの俺の敵系イケメン率。
その傍に、俺と同じ背丈位の萌黄色の着物と額に桃の刺繍入りの三角巾を付けた男も居る。
「ほんと皆カワイイねぇ♪僕の好みばっかり」
「はぁ……
もうすぐ約束の時間ですよ?」
「良いじゃない良いじゃない。こんなにカワイイ子が一杯居るんだよ?少し位」
「その少し位で毎回とんでもない遅刻するのはアンタだろ。俺じゃ道判らないんですよ!?」
「
リリスちゃん居なくなってから以来で久しぶりにコッチに来たんだから、
ゆっくりしても許してくれると思うよ?今回の魔王様も優しいみたいだし」
「信用出来ねぇ。魔王って言葉だけで怖ぇのに絶対信用出来ねぇ……!」
タオタローって呼ばれた萌黄色の着物の男がげんなりした様な顔して蹲りだしてる。
あのハクタク様ってイケメンの眷属か何かかな?様呼びだし。
でもなんか悪魔っぽくないっていうか……真逆の雰囲気がする。
後なんだろう?漢方薬っぽい匂いが二人からする。
小猫ちゃんじゃないのに判るレベルだ。
そんな事を眺めてぼーっと考えてたら、
ハクタク様って呼ばれてた人が女子高生一人の肩に手を伸ばした瞬間だった。
ズガンっと。校門の壁にめり込む……金棒。
「おぎゃあああああああああああああああ!?」
「ひぃ!?」
俺はトラウマを呼び起こして悲鳴を上げて、
そして女子生徒を上手く避け金棒が鼻の前を掠めたハクタク様って人も叫んだ。
「おや、その泣き声は中々良いですねイッセーさん。私の飼っている金魚に似ています」
「ぎゃあああああああ!!!!」
な、なんで鬼灯さんが此処に居るんだー!!!?
それよりも金魚って鳴くのか!?
パニック起こしていたら鬼灯さんがチッと舌打ちしてきた。殺される。俺殺される。
って、思っていたらあのハクタク様と呼ばれた人の所に向かって行って、
めり込んだ金棒を回収してた。
その上で、もう一階ハクタク様と呼ばれた人に向かって振り下ろした!
間一髪って所であの人避けたよ!すげぇ!当ってないのに既に口から吐血してるけど!
「こ、このハシビロコウ!!お前なんで此処に居るんだよ!?
それよりも女の子に当たりそうだったじゃないか何やってるんだよ!」
「寄ってみたら偶蹄類の極楽蜻蛉を見かけたもので。それは此方の台詞ですよ。
何故此処にいるんですか」
「神だからね、僕は。魔王様直々に御呼ばれしたんだよ」
「呼ばれる様な存在ですかねぇ貴方の様な淫獣が。
ただでさえ天界に居ればいいのにわざわざ衆合地獄まで来て面倒な事をしてくれる。
他所でまで盛ってるのを見ると非常に不愉快です」
「好きにしていいだろその位!それに折角だから弟子の桃タロー君も連れて来たんだ」
「駄獣が好き勝手にやっているのを見ると虫唾が走ります。
まぁ桃太郎さんの修業には良い機会だとは思いますが。許可は取っているのですか?」
「完璧にとっているよバカかお前は。あっち行け」
「獣に言われたくありませんね」
「根暗な奴に言われたくないね」
「寝惚けた事を言う貴方の方こそ好い加減黙ったらどうですか」
「あぁもう白澤様!鬼灯さん!こんな所まで来て『しりあげ足とり』開始しないで下さいよ」
「チッ」
「けっ、あーコッチに来てまでお前の顔見るなんてほんとヤダヤダ」
た、タオタローって人すげぇ!あの鬼灯さんを止めた!
てか「しりあげ足とり」ってなんだよ。
というなんか桃太郎?超有名な名前じゃないか?あの人桃太郎なのか?
確かに桃の三角巾被ってるけど。どちらかというと柴刈りのおじいさんの役の恰好?
でも英雄だから鬼灯さんを止められたのかな。
……ん?てか鬼灯さん今あのハクタク様って人を駄獣って言わなかったか?
てことは鬼灯さんあのハクタク様って人の事と俺を性格同一って言ってたのか。
…………顔は違うんだな!どうせ俺はイケメンじゃねぇよ!
「あぁ、そうそう。イッセーさん」
「は、はい!?」
行き成りなんで俺に話題がくるんだ!?
って考えてたら、スタスタと先ほど登場した付近まで戻って。
ずるっと何か大きい
「これ、返却しにきたんですが。あの時居たのは判りますが……保護者は誰でしょうか?」
「ヴァ……ヴァ、ヴァ、ヴァーリぃぃぃぃ!?」
片手にぶら下がっていた塊は、
ズタボロになっているのに超笑顔で気絶してるヴァーリだった。
俺の叫び声でアザゼル先生が駆けつけてきて。更に盛大な悲鳴が上がってた。
■■■■■■■■■■
「俺にとってこれほど楽しい物は無かったよ。またあの鬼灯って奴とは闘いたい」
「おいおいおいおい!突然断りも無く何処か行ってたと思ったら、
あの野郎に挑戦していやがったのかよヴァーリ!?」
「アザゼルに言うまでも無いと思っていたんだが」
「大有りだよ!お前は!その考えなしに強い奴に挑みに行く癖は止めろ!」
「それは無理だな」
「即答かよ!!せめて育ての親に報告位しろ!」
「だが言ったら止めるだろう?」
「当たり前だろうが」
「それでは意味がないじゃないか」
「そんなだから言えって言ってるんだよ!!あーもう!」
慌てて学園の保健室に連れていって、アーシアに回復して貰い、
意識を取り戻した時のヴァーリのセリフがコレだった。……どれだけ戦闘狂なんだよお前。
てかアザゼル先生が育ての親なのかよ。
因みにあのハクタク様……鬼灯さんに教えて貰ったけど『白澤』って書くらしいって人と、
タオタローって人達はそのまま魔王様の所に向かってった。
鬼灯さんはヴァーリを届けるのも目的だったみたいだけど、
あの白澤様と同じ様に魔王様に呼ばれていたらしい。
…………あれ?なんで俺鬼灯さんはさん付けで白澤様は様付けになってるんだ?
あのタオタローって人が様呼びしてたから自然と考えてたけど。
俺としては寧ろ鬼灯さんはさんじゃなくて様付けで呼んだ方が良い気がする。思考でも。
うん、今度からは鬼灯様と考えよう。
その時のアザゼル先生に向けた鬼灯様のセリフがまた凄かった。
「なるほど、貴方が保護者でしたか
【
貴方の教育はどうなってるんですか?」
「ぐふっ」
「そもそも貴方達が撤退したお陰でやっと私はあの徹夜から解放されて、
通常業務に戻ったばかりなのです。それでも
ロクな休みも取れませんがね。その中でこのご子息の行動。非常に問題がありませんかね?
【
「がはっ」
「せめてもう少し保護者としての自覚をお持ち下さい。
【
「も、もう止めてくれぇぇぇ!」
最後はアザゼル先生も口から血を吐いてた。
今は反省の色が欠片も無いヴァーリの言葉でよろめきながら胃薬を飲んでたりする。
「俺の当座の目標はあの鬼灯って奴に一撃入れる事だね」
「って事は当らなかったのかヴァーリ?」
「完全に避けられた。全てクロスカウンターの如く金棒が俺にめり込んでいた」
「どれだけ強いんだ鬼灯様は……」
「……ん?一誠。君は鬼灯を様付けで呼ぶ様にしたのか?まぁ俺には関係ないか。
恐らく俺が今まで見て来た中で、グレートレッドやオーフィスに次ぐ……
いや相当するレベルだと思って良いかもしれない。何せ
「はっ!?」
『何だと!?それは本当か白いの!?』
『……事実だ、赤いの』
うぉっ、久しぶりにドライグが叫んだ。
最近ずっと静かっつうかヴァーリと出会って以来ずっと黙ったままだったよなお前。
『赤いの。アレは今の俺達には手を出してはいけない領域だ。
俺の半減の力を全てあの金棒で弾き飛ばしていた、アレは異常だ。
俺達の常識が通用しない』
「は、弾き飛ばしたぁあ!?」
うぉ!アザゼル先生が復活した!
「せ、
その上物理的に弾き飛ばしたってのは異常だぞそれは!?
なんだっていうんだ。あの金棒が
『……
俺達と同じ匂いはあの金棒からはしない』
「マジかよ……いやまてよ。もしかしたら……」
なんかアザゼル先生がぶつぶつと独り言を呟いて自分の世界に入り込んでる。
所謂マッドモードって奴だよなアレ。
ちょっと引いてヴァーリの方を見たら、ヴァーリは肩を竦めてみせた。
「この状態になったらアザゼルは暫く戻ってこないね」
「そ、そうなのか?ヴァーリ」
「身近で見ていたから判る」
「そうか……」
「まぁそれでも俺にとっては育ての親だけどな」
「苦労してるんだな」
「苦労した記憶は一切無いぞ?」
……うん、お前完全な戦闘狂で色々考えてる様で何も考えてないよな。
そんな気がしてきた。
俺のおっぱい思考と同じでちょっと親近感持つよ俺は。
イケメンだから敵だがな。
そんなお前はその戦闘狂で鈍感な部分で泣いた女居るだろ。絶対。
……あっ、そう考えたらすっげぇイラつく。
そう考えてイライラし出してたら、保健室の扉が開いて部長がやってきた。
「イッセー。アーシア。ここにいたのね?騒ぎを聞いて吃驚したのだけど」
「あ、部長」
「どうしたんですか?」
「一緒に帰ろうと思ったら居なかったから探していたのよ」
「そうだったんですか。すいません勝手に動いちゃって」
「構わないわ。ヴァーリの怪我を治す為だったんでしょう?
それじゃ二人共。帰りましょう」
そういってニッコリとほほ笑む。部長。やっぱ部長は良いなぁ……。
アーシア痛いよ。太もも抓るのは痛いよ。
でも二人に囲まれて俺は幸せだ。
その後朱乃先輩やゼノヴィアもくっついてくれて暖かい。
その幸せは、部長の家に帰宅した時に苦笑いで青褪めたサーゼクス様と一緒に、
鬼灯様となんかボロボロになっている白澤様と、
それをげんなりした顔で見ているタオタローさんが居たのを見た瞬間に全部吹き飛んでった。
鬼灯様だったら容赦なくアザゼルさんの古傷えぐってくると思うんだ。