【コラム】韓国に冷たい「太平洋国家」日本

 島国・日本は、韓半島(朝鮮半島)経由で渡ってきたアジア系と、南太平洋からやって来たポリネシア系がつくった古代文明から出発した。米国の文化人類学者、ルース・ベネディクトは、日本を理解する古典に挙げられる著書『菊と刀』で、天皇について、太平洋の島々で見られる「神聖首長」と同じ概念だと記した。日本の二重性は、その後も続いた。2000年近くにわたってアジアの国際秩序だった朝貢体制の外部に位置し、明治維新後はアジア主義と脱アジア主義が交差する中で歴史が進んだ。「大東亜共栄圏」を叫んでいたのに、第2次大戦で敗れると、米国主導の西側世界に喜んで編入された国が日本だ。

 今回の訪米で、安倍首相が米国に対し露骨な求愛を行う一方、アジア諸国は無視したことにより、日本はアジアを脱して「太平洋国家」へと一歩進んだ。日本のこうした動きは、言うまでもなく宿敵・中国の強力な台頭を警戒しているからだ。太平洋を結ぶ米国主導の対中封鎖網への参加と、太平洋諸国との経済的つながりの強化に、国の命運を賭けているのだ。

 脱アジアの動きを加速させている「安倍日本」が、北東アジアの隣接諸国に配慮するとは思えない。中国中心の新朝貢体制に編入される可能性が高いとみられる韓国に対しては、なおのことそうだろう。謝罪する気が特にない相手にこれを要求し続けるのは、互いに煩わしい。今や、「東洋3国」ではなく「太平洋国家」へと脱皮しつつある日本と共に生きていくための、より冷徹な対日関係を構想すべき時が来ている。

李先敏(イ・ソンミン)世論読者部長
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