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 英国総選挙(下院定数650)は7日に投票が行われた。公共放送BBCなどが実施した出口調査に基づく議席予測によると、与党・保守党が改選前を上回る316議席を獲得して第1党を維持する見通し。保守党主導の政権が続き、キャメロン首相が続投する可能性が高まっている。

 8日午前5時(日本時間同午後1時)現在の確定議席は、保守党110、最大野党の労働党133、保守党と5年間連立を組んだ自民党は6議席。開票作業が早い都市部を地盤に持つ労働党の方が、獲得議席が先行している。

 出口調査に基づく予測では、労働党は239議席で改選前より約20議席減らし、自民党は改選前の56議席から10議席へと激減する見通しだ。一方、改選前は6議席だったスコットランド民族党(SNP)は、スコットランド全59議席のうち労働党が保有した議席の大半を奪って58議席を獲得すると予測。別の世論調査YouGov社の出口調査でもSNPは48議席と予測され、自民党を抜いて第3党に躍進するのは確実だ。

 労働党のミリバンド党首は8日午前5時(日本時間同日午後1時)すぎ、英中部ドンカスターで自身の再選を決めた後に演説し、「労働党にとり、明らかに困難で残念な夜になった」と述べ、スコットランドでの議席喪失を悔やんだ。

 直前の世論調査では、保守と労働の2大政党の支持率は拮抗(きっこう)し、大接戦の様相だったが、出口調査では保守党が一定の差をつけて勝利するとの結果が出た。保守党は過半数に満たない場合でも自民党との再連立ではなく、単独での少数与党の道を選ぶ可能性もある。

 保守党は、欧州連合(EU)圏からの移民規制を求める世論の高まりなどを受けて、2017年末までにEU離脱の賛否を問う国民投票を実施すると公約に掲げた。キャメロン首相は国民投票に先立ち、EU加盟条件の再交渉や「EU改革」に取り組むと主張している。

 今回の総選挙は、保守、自民の連立政権がこの5年間行った財政再建と経済対策への評価が主な争点だった。保守党は財政黒字化の達成に向けた緊縮政策の継続を主張。労働党は税制改革などを通じた格差縮小を訴えていた。(ロンドン=渡辺志帆)