衆院憲法審査会:「緊急事態、先行議論を」自民が提案
毎日新聞 2015年05月07日 22時06分(最終更新 05月07日 23時44分)
衆院憲法審査会が7日開かれ、昨年12月の衆院選後初の実質審議を行った。自民党は、緊急事態条項の新設など各党が合意しやすい改憲項目を優先して審議するよう提案。一方、民主党は安倍政権が昨年7月に集団的自衛権の行使容認で憲法解釈を変更したことを批判し、まず立憲主義に関する各党の主張を確認するよう求めるなど、各党の姿勢の違いが鮮明になった。
実質審議は昨年11月以来。議席数から委員を出せる6党の代表が意見表明したうえで、自由討議の形式で委員が意見を述べた。
自民党の船田元氏は、大規模災害が発生した際、衆院解散や任期切れで衆院議員が不在となる事態を避けるため、議員の任期延長などを「憲法で規定することが急務」として緊急事態条項の必要性を訴えた。これに加え、環境権など新しい人権、財政規律条項の3項目の先行議論を求めた。
船田氏はまた、「憲法改正には限界がある」と述べ、(1)国民主権(2)平和主義(3)基本的人権の尊重−−の憲法三原則を堅持する姿勢を強調した。
一方、民主党の武正公一氏は「現状の社会問題として憲法に補うべきものから優先的に議論したい」と発言。3項目の先行に一定の理解を示したが、改憲項目の絞り込みにすぐには応じない姿勢を示した。
維新の党の井上英孝氏は「国の将来を切り開くためには、より効率的で分散型の統治機構を確立することが急務」と指摘。国と地方の役割を抜本的に見直すなどの統治機構改革を優先項目として掲げた。
公明党の斉藤鉄夫氏は、現行憲法は「戦後日本の平和に貢献し、国民に定着した」と強調したうえで、新たな理念を追加する「加憲」が妥当と主張。その対象として「新しい人権」の検討を呼びかけ、プライバシー権や知る権利などを列挙。環境権は「人間のための環境保護か、生態系の保護かなど課題がある」と慎重な姿勢を示した。
次世代の党の園田博之氏は、国民主権や平和主義を維持したうえで、「伝統・文化の継承と発展」などを盛り込むよう提案した。共産党の赤嶺政賢氏は「国民は改憲を求めていない」と断言し、全面的に改憲に反対する立場を強調した。【高橋克哉】