2015年5月7日11時50分
衆院の憲法審査会(会長=保岡興治元法相)が7日開かれ、昨年末の衆院選後、初の本格的な討論を行った。憲法改正に向け、改正項目を早期に絞り込みたい自民党は、大災害時の国会議員の任期延長などを含めた「緊急事態条項」の協議を呼びかけた。一方、民主党は安倍晋三首相の憲法観に疑問を呈するなど、各党間の意見の違いが鮮明になった。
審査会には、委員の枠がある自民、民主のほか、維新、公明、共産、次世代の計6党が参加。「今後の憲法審査会で協議すべきこと」をテーマに討議した。
自民党憲法改正推進本部長の船田元氏は、各党の賛同が得やすいとみる緊急事態条項について「大規模災害発生時などに、国会議員の任期が延長できることなどを憲法に規定しておくことは急務だ」などと主張。また同党の憲法改正草案について、「(国会発議に必要な)衆参両院の3分の2以上の合意を得るため、大いなる妥協を続け、元の姿ではなくなる」と語り、改正の中身について他党の主張を受け入れる姿勢を強調した。
民主の武正公一氏は、首相がかつて、いまの憲法について「GHQ(連合国軍総司令部)の素人がたった8日間で作り上げた代物」とした発言を問題視。「『押しつけ憲法論』について、各党の考え方も確認して議論を進める」とした。
維新の井上英孝氏は統治機構改革の必要性を挙げ、道州制や首相公選制、国会の一院制の導入を主張した。公明の斉藤鉄夫氏は環境権について「検討対象の一つだ」と述べた。
また、共産の赤嶺政賢氏は「国民の多数は改憲を求めておらず、改憲のための憲法審査会を動かす必要はない」、次世代の園田博之氏は「なるべく早く、国民投票の機会が得られるようにお願いしたい」と主張した。
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《憲法審査会》 2007年8月に衆参両院に設置された機関。憲法や関連法制を調査し、憲法改正原案を審査する。国会が憲法改正を発議するためには、両院の審査会が改正原案を過半数で可決し、さらに両院の本会議で3分の2以上の賛成を得ることが必要。審査会は衆院が50人、参院が45人で構成されている。
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