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 三菱商事の「開かないゴマ」が、米国のゴマ農家の収穫を楽にし、日本の食卓にものぼっている。熟してもさやが開かないようにしてあり、食べる部分の種子を効率よく収穫できる。過去最多の生産量をめざし、今年も種まきの季節に入った。

 ゴマは1~2メートルほどの茎に白い花を咲かせる。熟すと乾燥してさやが開き、食べる部分の種子が飛び散ってしまう。そこで、飛び散る前に茎の1本1本を手作業で刈り取る必要がある。天日で乾燥させ、脱穀するのが一般的だ。

 開かないゴマは、米国の種苗会社が、いろいろなゴマをかけあわせて開発した。立ち枯れた茎をトラクターで一気に刈り取ることができ、脱穀もスムーズにできる。開発は約40年前だが、三菱商事が2011年、この会社を子会社にしたことで栽培が広がった。14年秋の収穫は前年より4割多い3万トンに達し、過去最多を更新。日本にも輸入されている。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、ゴマの世界生産は、インドやアフリカを中心に、13年までの10年間で5割増えて475万トンになった。日本はほとんどを輸入に頼る。14年は16万8223トン(財務省貿易統計)を輸入した。(宮崎健)