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 ベトナム戦争時に在日米軍基地から逃げた米兵を映像ジャーナリストの小山帥人(こやまおさひと)さん(73)=大阪市=がかくまい、その姿を撮影していた。ベトナム戦争終結から今年で40年。小山さんは9日、秘密にしてきた映像を大阪市内で上映し、当時のことを語る。

 「脱走米兵をかくまってほしい」。大阪の放送局に勤めていた小山さんは1968年3月、信頼を寄せていた先輩から頼まれた。その約3年前から、日本では米軍による北ベトナム爆撃で多くの市民が犠牲になったのをきっかけに反戦機運が高まっていた。

 京都市内の小山さんの実家にきた青年米兵は19歳。「キャル」と名乗った。すぐになじみ、小山さんが16ミリカメラを回しても拒まなかった。約190センチの長身を折り曲げて狭い浴槽につかったり、はちまきを巻いて日本酒を飲んだり、母親のつくったすき焼きをフォークでぱくぱくと食べたり……。映像には、ベトナムで海軍兵として戦ったというキャルがくつろぐ姿が残っている。

 「すぐ隣の仲間が首を撃たれて死にました」「家族は衝撃を受けるだろうが、愚かな戦争をやめさせるために脱走しました」。小山さんはキャルが反戦を訴える声明を読みあげる様子もとらえていた。