15年ほど昔だろうか、僕は、わけあって正式名称を記述出来ないので皆様の想像力にお任せするけれども、千葉にあるのに東京の名を語るテーマパークのネズミの名前を名付けたのだ。それも人ではなく人の部位に。オスネズミの名前を僕の局部、メスネズミの名前を当時付き合っていた女性の局部にという具合に。当該ネズミペアの大ファンであった彼女の提案だった。
僕らは合体グランドクロスのたびに、軋むベッドの上で「◯ッキー!!!」「◯ニ、◯二、◯ニ、◯ニー!!」「◯ッキーさんスゴイ。ネズミじゃないみたい…」「オ、オー…◯ニー…マイスイートハート」とネズミの名を叫び愛を高めあったのだ。ほとんどサルのように。それは時給制のキャストが介在しない二人だけのエレクト◯リカルパレードだった。絶頂に達した僕らはお互いにスプラッシュマウ◯ンテンになって、終わりのベッドにはいつもシーが出来た。いい時代だった。
僕らの関係は絶頂の最中に僕が別の女性の名前を絶叫しながらスプラッシュしたことが原因で終わった。もし、あのとき、当該メスネズミの名前を叫んでいたらと五年に一度くらいの頻度で後悔している。別れてからずいぶん後になって彼女は別の男性と結婚した。結婚式の様子は共通の友人のフェイスブックで見た。彼女は幸せそうな顔をしていた。
僕の前でスプラッシュ◯ウンテンしていた彼女、僕のビッグサンダー◯ウンテン裏のトンネルをチロチロしていた彼女が、旦那にも同じようにしていると思うと僕は何だか嬉しい気持ちになる。言葉は神で、言葉で語られる名前には特別な力が宿る。高貴な名前には高貴な力が宿るのだ。僕は彼女の幸せを心から祈っている。僕は彼女が今もネズミの名前を叫んでいると信じている。そんな気持ちになるのも愛にあふれたVIPの名前が僕たちの安くてインスタントな愛を引き上げ、高めてくれたからだと、ストレスや疲労でキャプテンEDになってしまった僕は思うのだ。