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【経済インサイド】
内閣人事局が初めて練る官僚人事 「対官邸」「女性」「片道切符」3つのキーワードに高級官僚たちの戦々
例年は大型連休明けに始まる中央省庁の「出世レース予想」が、早くも騒がしくなっている。国家公務員は年功序列型の人事システムで「10年先の異動・配置先まで決まっている」(政府高官)のが当たり前だったが、いまや出世街道を突き進むには「3つの壁」を乗り越えなければならない。女性職員の幹部登用や省庁間人事を推し進める首相官邸は、今夏の定期人事で政治主導を本格化させる構えで、いつにも増して「官僚たちの夏」は熱くなりそうだ。
最大の注目は財務省
今夏の注目は財務省だ。厳しい国家財政の中、予算編成を事実上担ってきた主計局長の田中一穂氏は、事務次官への就任が確実視されている。昨年の人事で主税局長から異例の転身を遂げ、「次官待ちポスト」の主計局長として新たな財政健全化計画の策定を牽引(けんいん)している。
現在の香川俊介次官、その前の木下康司元次官と同じ昭和54年入省で、同期3人が次官を経験することになりそうだ。官僚の世界では、出世レースでトップを走る同期が次官に就任するまでの間、ほとんどの同期は退官するか外部に転出する。
だが、安倍晋三首相は第1次政権時に首相秘書官を務めた田中氏の能力や人柄を高く評価。休日も首相とゴルフしたり酒を交わしたりする首相の側近中の側近で、「『田中次官』以外ありえない」(政府関係者)との声も漏れている。