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 韓国の大物記者2人が相次ぎ「事実よりも感情を優先して書く」と韓国メディアを批判した。矛先は、その扇動型メディアに動かされる朴槿恵(パク・クンヘ)大統領にも及ぶ。

朝鮮日報は扇動メディアだ

前回は、韓国で朴槿恵政権の外交が「無能」と批判されている、という話でした。

鈴置:保守派指導者の1人、趙甲済(チョ・カプチェ)氏は朴槿恵政権がスタートした2013年から「米中等距離」や「親中反日」外交は反米につながる危険なものだ、と繰り返し主張してきました(「米国も見透かす韓国の『卑日一人芝居』」参照)。

 その意見が韓国でようやく理解され始めた時、趙甲済氏は「国内外で見捨てられる朴槿恵の親中反日路線」(4月23日、韓国語)を自身のネットメディアに載せました。

 この記事が興味深いのは朴槿恵政権だけではなく、「反日」を扇動した主犯として、最大手紙の朝鮮日報を厳しく批判したことです。

 趙甲済氏はまず、朝鮮日報の社説「5カ月ぶりにまた開いた中・日首脳会談、孤立避ける戦略はあるのか」(4月23日、韓国語版)を引用します。この社説も朴槿恵外交への批判が目的でした。趙甲済氏が引用したのは以下の部分です。

  • 「米中双方からのラブコール」などと外交当局のトップが言い、日本との首脳会談を3年間も避けているうちに、中・日首脳会談が相次いで開かれた。
  • 政府は日本の歴史に関する退行的な言動に対しては原則を持って対応しつつも、安保や経済問題についてはもう少し柔軟性のある現実的な打開策を考える必要がある。

手のひら返しで「反日の失敗」と批判

 この社説を引用した後、趙甲済氏は返す刀で次のように朝鮮日報に筆誅を加えます。

  • 朝鮮日報をはじめとする韓国メディアの一方的、感情的、非戦略的な反日報道に迎合し、親中反日の外交路線を堅持してきた朴槿恵大統領が、この社説を読んだらさぞ複雑な思いにとらわれたであろう。
  • もし、朴大統領が条件なしで安倍首相と会談しようとしたら、歴史戦争をそそのかしてきた朝鮮日報などのメディアは「自尊心のない外交」と猛烈に非難したことだろう。
  • (朴大統領の反日外交は)中国のラブコールと韓国メディアの反日報道に忠実に従ったものだ。しかし、日中和解ムードと米日の蜜月関係の進展によって韓国が孤立した姿を見せるや否や、その事態の展開に責任のあるメディアが朴大統領の反日外交に背を向け始めた。

 確かに朝鮮日報は、先頭に立って韓国を「反日」に誘導してきました。それなのに反日路線が破綻すると、突然に手のひらを返し「反日政権」を批判したのです。「いくら何でもご都合主義ではないか」と趙甲済氏は問い質したのです。

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