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【国際情勢分析】
言論自由の英国で浮上した“言論の不自由問題” 元政府委員の告発 「人種議論のタブー化が問題を深刻にした」
英中部のロザラムで1400人以上もの白人の少女たちがパキスタン系の男たちに16年間にわたり組織的な性的虐待を受けていた事件が昨年8月に発覚。その際、警察や地元行政が人種問題に発展することを恐れて対応を怠り、事件の深刻化を招いていたことが明らかになった。
さらに、イスラム過激主義者たちが多文化主義の名の下に、自分たちの世界をつくり、人種や宗教の間の隔たりを大きくしたと結論づけた。言論のタブーや英国のイスラム化に懸念を抱く人たちが増え、反移民政党の英国独立党支持増にもつながったという。
「人種問題の議論をタブーにしたことが、逆に問題を深刻化させてしまった…多文化主義は美しく理想的だが、現実には隙間だらけなのだ」。同氏はこう強調し、拙速な移民受け入れと多文化主義政策に誤りがあったとして懺悔した。
そのうえで、「多くの英国人は、差別主義者ではない。人種問題についても胸襟を開いて話せるようにしなければ、状況は悪化するだけだ」と主張し、「私たちは、打たれ強くなるべきだ。相互批判は言論の自由の代価だ」と訴えた。
これに対し、「差別主義者」と呼ばれて肩身の狭い思いをしてきた政治家たちからは、歓迎する声が上がっている。