今どきの飛行機はIT絡みでバグが多いようです
山本一郎 | 個人投資家
山本一郎です。鼻毛がバグっているのか、伸びまくりで困っています。
ところで、全ての機器が何らかのコンピュータを搭載し、もしくは連携して制御する時代になりつつある今日この頃ですが、そうした時代に相応しい飛行機ネタが2つほどあったのでご紹介しておきます。
まずは、パイロットが業務でコックピットに持ち込むiPadが故障したという話。
アメリカン航空で操縦士の端末アプリに不具合、54便に遅延(ウォール・ストリート・ジャーナル 15/4/30)
iPadアプリ故障で航空機運航にトラブル―その危険度とは(International Business Times 15/5/1)
航空機の場合、わずかでも重量を減らせば直ちに燃料削減の効果を見込めるとのことで、書類の電子化は非常に重要な施策なのかなと思われますが、それがソフト更新時のバグで一斉に使えなくなるというのはなんともこころもとない話でもあります。最悪の場合には、飛行中に同iPadが使えなくなっても問題ないという説明されているようですが、結果としては50便以上に遅延を発生させている現実もあります。
あくまでも一般論となりますが、普通飛行機の場合には、バグが出尽くしたような枯れたテクノロジーを採用することで、運用中にシステムが落ちるような事態を極力防止すると共に、冗長性を持たせることで一つのシステムがだめになっても代替システムをすぐに利用できるようにするのが常識だと思っていたのですが、iPadについてはそういう考え方が適用できなかったということなのかもしれません。ここはひとつTizen搭載のタブレットとかどうでしょうか。経済性を優先するため民生品を利用する機会が増えつつあるのでしょうが、思わぬ落とし穴があったという感が無きにしも非ずです。
一方で、飛行機ならではの枯れた技術を採用したはずが、そこに枯れたバグがあったというニュアンスの話もありました。
ボーイング787に248日問題、電源停止で制御不能の恐れ(Engadget日本版 15/5/2)
IT業界、とくに長期間連続稼働が要求されるエンタープライズ系システム界隈においては古典的とも言える「248日問題」のバグが飛行機のシステムにもそのまま組み込まれてしまっていたという話のようです。
ネット上を検索すると248日や497日のほか、830日問題なども見つかります。248日での不具合発生は過去のOracleのシステムが割と有名ですね。まあ、普通のITシステムの場合もこういう不具合は非常に困るのですが、今回のボーイング787では「248日を超えて通電し続けると発電機を制御するシステムがセーフモードに入り、一斉にAC電源が落ちて飛行中ならば制御不能になる恐れがある」とのことで恐ろしすぎます。
こうした長期間の連続稼働といった条件を求められるシステムは、今後IoTな時代を迎えますます増えていくことでしょうが、そこでもボーイングと同様なバグを抱える可能性が絶対にあり得ないとは断言できない不安があります。
そういえば、遂にダイムラーが大型トラックの自動運転実用化に向け公道実験を開始するようです。
ダイムラー、ネバダ州でトラック自動運転の許可取得 ダイムラー、ネバダ州でトラック自動運転の許可取得(日本経済新聞 15/5/6)
しっかりと「不測の事態」に向けての安全策を練り上げて、先のiPad的なトラブルやボーイングのようなバグを可能な限り排除できるようにしてほしいものです。やはりここはTizenによるバックアップが必要な時期に差し掛かっているのではないでしょうか。