2014年に上場したIT企業28社まとめ(前編)
昨年は、10億を超える大型資金調達や大手企業の買収など、IT界隈のビッグニュースが絶えない1年でした。
【2014年完全版】Webマーケティング界隈、資金調達31社と調達金額まとめ
上場を果たした企業も多く、昨年上場した企業の約3分の1をIT企業が占めています。
昨年上場したIT企業は、堅実に業績を伸ばしてきたタイプと、短期間で急成長したタイプに分けることができます。
今回は、昨年上場したIT企業の28社の事業内容と上場後の動向(決算、株価等)を、2回にわたってご紹介します。
少しでもITに関わっているのであればこれからのIT業界を牽引していくであろう企業を知っておくに越したことはありません。今勢いのある会社はどこなのか、それらはどのような事業を展開しているのか、というところは把握しておきましょう。
2014年上場した企業リスト
※【】内には上場日と上場場所を記載しています。
1. 株式会社みんなのウェディング 【3/25 東証マザーズ】
主に、結婚式場のクチコミサイト「みんなのウェディング」の運営と、結婚式のプロデュースを手がける株式会社みんなのウェディングは、2010年に設立からわずか4年で上場を果たしました。
サイトへ結婚式場の情報を掲載する際に発生する月額課金が収益のほとんどを占めており、他には広告収入やフロー型(式場プロデュース料、従量課金収入など)があるようです。創業以来、右肩上がりの成長を続けている同社ですが、2015年2月に発表された、第一四半期決算では、売上、営業利益ともに未達となっています。
4月21日にはクックパッドと資本業務提携したことが発表され、クックパッドの連結子会社となりました。クックパッドの運営ノウハウを活かしたみんなのウェディングの事業拡大が期待されます。
クックパッド株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明及びクックパッド株式会社との資本業務提携基本合意書締結のお知らせ
2.株式会社フリークアウト 【6/24 東証マザーズ】
日本初のDSP開発企業であるフリークアウトも、2010年の設立から約4年で上場を果たしています。
国内だけでなく海外にも複数の支社を持ち、2015年4月20日に発表された第二四半期の決算では、国内、海外ともに増収しています。利益においては、国内は減少しているものの、アメリカ子会社が大幅に増収しています。
ネイティブ広告の業績が非常に好調なため、今後さらにそちらへ注力していくようです。
3.株式会社レアジョブ 【6/27 東証マザーズ】
オンライン英会話サービスを提供するレアジョブは、2007年に設立し、順調に売上を伸ばして昨年上場を果たしました。レアジョブは無料のビデオチャットツールであるスカイプを利用し、マンツーマンの英会話レッスンを1レッスンあたり129円~という破格の料金で提供する個人向けのサービスと、法人向けの英会話研修サービスの2つの事業を展開しています。
2015年2月13日に発表された第3四半期決算でも大幅に増収増益を出しており、今後はスマホアプリ事業も拡大していくようです。
4.メドピア株式会社 【6/27 東証マザーズ】
2004年に設立されたメドピア株式会社は、会員数71,000人を誇る医師限定のソーシャルメディアを運営しており、国内の医師の4人に1人が登録しています。
利用料は無料で、製薬企業からの広告収入が主な収益となっています。製薬業界のEコマース予算は年々増加傾向にあり、2014年11月に発表された決算でも増収増益を達成しており、今後更に成長が期待できます。
5. 株式会社VOYAGE GROUP 【7/2 東証マザーズ】
メディアやアドテクノロジー関連の事業を行うVOYAGE GROUPは、1999年に設立され、主力であるポイントサイト「ECナビ」運営と、近年急速に成長しているアドテクノロジー事業によって着実に収益を伸ばし、昨年7月に上場を果たしました。
2015年4月22日に発表された決算でもアドテクノロジー事業の増収増益幅が大きく、過去最高を記録しています。同日、SSP専業企業であるKauliを子会社化したことを発表し、今後更にアド的領域に注力すると同時に、スマートフォン分野への投資も強化していく方針のようです。
VOYAGE GROUPが専業SSP「Kauli」を14.8億円で子会社化 | TechCrunch Japan
6.株式会社イグニス 【7/15 東証マザーズ】
スマートフォンアプリを開発するイグニスは、2010年に設立されて以降、スマートフォン事業のみに注力してきました。
2015年2月に発表された第一四半期決算では減収減益で約1億円の赤字となっていますが、全て予定通りとのことで、予実管理は問題ないようです。
累計アプリダウンロード数は7,000万を超えており、月間アクティブユーザー800万人を保有しており、主な収益はアプリ内の広告収入と課金収入となっています。今後もアプリ事業に注力し、通期で売売上高33億円を目指します。
7.株式会社ロックオン 【9/17 東証マザーズ】
2001年に設立された株式会社ロックオンは、広告プラットフォームと商流プラットフォームの二軸を主に展開しており、自社で培ったノウハウを提供するオウンドメディア「マーケティングメトリックス研究所」も運用しています。
インターネット広告の効果測定分析ツール「AD EBiS」とECオープンプラットフォームである「EC CUBE」が主力商品ですが、現在は、成長領域である「AD EBiS」に積極投資しています。
2015年2月に発表された第1四半期決算では前期比増収増益と良好な結果を出しています。
8.株式会社リアル・ワールド 【9/18 東証マザーズ】
株式会社リアル・ワールドは、2005年に設立された当初はポイントサイトである「gendama」の運営から始まりました。2008年から現在の主力事業であるクラウドソーシングサービスを開始し、2014年9月に上場を果たしました、
2015年2月に発表された第1四半期決算では赤字計上となっていますが、株式会社マークアイを連結したことで総資産が増加、通期業績予想も情報修正しています。
クラウドソーシング事業では、会員獲得増加のフェーズから、クラウド内の仕事量・種類を増加させるフェーズに移行するようです。
9.株式会社ジェネレーションパス 【9/24 東証マザーズ】
genepa.com2002年に設立されたジェネレーションパスは、EC事業とECサポート事業を展開しています。
総アイテム数70万点のネットショップ「リコメン堂」が主力サービスで、楽天、ヤフーショッピングのベストショップにも選ばれています。
2015年3月に発表された決算では、目標に対して未達ではあったものの、売上、利益ともに過去最高を更新しています。PV数、受注件数、パートナー企業数は全て順調に伸びており、今後は事業への積極投資を進め、更なる業績拡大を狙うようです。
10.株式会社FFRI 【9/30 東証マザーズ】
サイバーセキュリティー製品の開発・販売を行う株式会社FFRIは2007年に設立されて以降、高まりつつあるネットセキュリティのニーズに応えるために、国際的に実績があるセキュリティーエンジニアを有する専門家チームを構成し、「セキュリティー脆弱性の発見」「標的型攻撃などマルウエア対策」「組み込みセキュリティーの脆弱性脅威分析」の3つの分野に注力しています。
上場二日後の初値は公募価格の2.8倍となり、期待の高さが窺えます。
FFRIが上場2日目初値、2.8倍に-サイバーセキュリティー - Bloomberg
11.株式会社リクルート・ホールディングス 【10/16 東証1部】
「リクナビ」や「SUUMO」「じゃらん」など、あらゆる分野での情報サービスを提供するリクルートの、創業から50年以上経っての上場は市場に大きなインパクトを与えました。初値で換算した時価総額は1兆8100億円となり、翌日には時価総額2兆円を超え、規模としては1990年以降NTTドコモ、JTに次ぐ大型上場となりました。
創業者である江副氏は上場はしないことをポリシーとして掲げていましたが、現社長である峯岸氏はグローバル展開を進めるための資金を調達することを目的に上場に踏み切ったようです。
リクルートが今秋めど上場へ 資金調達を急ぐもう一つの訳|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
12. GMOリサーチ株式会社 【10/21 東証マザーズ】
GMOグループ内のインターネットリサーチ事業を担うGMOリサーチ株式会社は、2002年にGMO総合研究所株式会社として設立され、2006年「GMOリサーチ株式会社」を吸収合併して現在の商号となりました。
国内外でオンライン調査サービスを提供しており、順調に成績を伸ばして2014年10月に上場を果たしました。2015年2月に発表された2014年度通期決算では、売上・利益共に過去最高を更新しています。
13.株式会社セレス 【10/22 東証マザーズ】
2005年に設立されたセレスは、ポイントサービスの「モッピー」や、アルバイト求人情報サービス「モッピージョブ」を運営しており、昨年上場しました。
全サービスがスマートフォンに最適化されており、スマートフォン市場の成長ととともに着実に売上を増やし、2015年2月に発表された決算でも売上・利益ともに過去最高を更新しています。
14.株式会社アルファポリス 【10/30 東証マザーズ】
2000年に設立されたアルファポリスは、ユーザーから投稿された小説や漫画を掲載し、その中で人気を得たものを書籍化する、というシステムをとっており、月間60万人が利用しています。
2015年2月に発表された決算では増収増益となっており、経営利益率が約27%とかなり高い水準を維持しています。
まとめ
今回は、昨年上場したIT企業28社のうち14社をご紹介しました。
全体の傾向を見ると、アドテクノロジー、スマートフォン関連企業が多いようです。
リクルートは例外ですが、それ以外では設立後10年も経っていないような企業が次々と上場しており、それらの市場の成長スピードが異常に早いことが見てとれます。
上場後の決算も概ね良い結果を出しており、今後の市場へどれだけ影響が出るのかに期待が寄せられます。
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