[PR]

 フランスの右翼・国民戦線(FN)は4日に開いた幹部会で、党の創設者で名誉党首のジャンマリ・ルペン氏の党員資格を凍結すると決めた。ガス室によるユダヤ人虐殺を「ささいなことだ」とする発言は見逃せないと判断した。現党首で娘のマリーヌ・ルペン氏は2017年の大統領選をにらみ、父親の切り離しに動き出した。

 FNは11年に後を継いだマリーヌ氏のもと、「極右」から「ふつうの政党」にイメージ転換をはかり、党勢を拡大している。「ガス室はささいなこと」「考えを変えるつもりはない」などと繰り返す父親に対し、マリーヌ氏は「党の考えに反することを、FNの名で語ってはならない」と指摘していた。

 4日の幹部会では、名誉党首のポストにも疑義が示され、「3カ月以内に臨時党大会を開いて決める」とした。その間は党員資格を停止するという。

 これに対してジャンマリ氏は、仏メディアに「裏切りだ。(ルペンという)私の名を返してほしい」と語り、反発を強めている。

 「愛国」を掲げるFNは、中道の左右両派を批判し、移民規制の強化を訴えて国民の不満を吸収している。昨年春の欧州議会選で仏第1党になったほか、3月の県議選でも議席を大きく伸ばした。ただ、極右的な立場をとるジャンマリ氏にも一定の支持層があるとみられる。(パリ=青田秀樹)