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国際会議の地方誘致は数より質で勝負を

2015/5/6付
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 多くの国から参加者を集める国際的な会議や会合、展示会などを招く取り組みが、アジアで熱を帯びてきた。こうした国際イベントは観光への波及効果も大きい。地方都市を含め、日本も誘致に一層の力を入れたい。

 2013年の実績で、日本の国際会議の開催件数は世界で7位。アジアでは首位だ。しかし近年、中国、韓国、シンガポールが追い上げている。アジア主要5カ国での国際会議の開催件数をみると、1991年に51%だった日本のシェアは、13年に25%まで落ち込んだ。件数も横ばいが続く。

 国際イベントの参加者は、一般の観光客より滞在が長めだ。経営者や投資家、医師、法律家などゆとりのある層も多い。旅費はおおむね企業などが負担するため、消費額は高くなる。後に休暇で再訪するといった展開も期待できる。経済に及ぼす効果は大きい。

 誘致にはハードとソフトの両輪が必要になる。ハード面ではホテル、会議場、展示場、娯楽が一体となった大規模施設の建設が各国で盛んだ。ソフト面では空港の税関や出入国審査を素早く通過できる仕組み、高度な通訳、インターネットの無線接続サービスなどが必須になりつつある。

 日本が注力すべきはソフト面だ。大都市に大規模な施設を新設するのは、財政の面でも場所の確保という点でも厳しい。ハードは既存の設備を改修しながら、移動やネットなどのサービスを充実するのが現実的ではないか。

 観光庁は今年から、大都市だけでなく地方都市への国際イベント誘致にも力を入れるという。世界経済フォーラムの年次総会が開催地の名前からダボス会議と呼ばれるように、地域名を世界に知らせる好機といえる。

 ただ、地方都市での過剰な設備投資は大都市以上に将来の負担となる。効果の薄い投資は避けるべきだ。90年代に自治体によるテーマパークが乱立、破綻した失敗を繰り返してはならない。

 人数や件数を追うよりも、ダボスにならって小ぶりでも情報発信力や注目度の高い会議を誘致してはどうか。自然の魅力を訴え、地元の料理店などが協力すれば、大都市では味わえない満足を提供できる。空港の受け入れや移動でも小回りを利かせられるはずだ。

 アジアでの国際会議や展示会は今後も増勢が続く。伸びる市場をうまく成長に生かしたい。

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