フランス人と結婚しました。

フランス移住の人生いろいろ。未婚の母、交通事故を経て海外生活の実情を語ります。

書物の民




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「もの知り顔をしてはいませんか?」と石牟礼道子さんはおっしゃる。
私は「そのつもりで心しています」と答える。「あなたの言葉をさも自分のそれであるようなふりをする“普通の人たち”が盗人になる時代です。情報源とて信憑性如何の話をしたらきりがありませんね」と。威勢のいい人たちが堂々と掲げるあのソースとて、学問の世界では厳禁であることを私の愛する人から教えていただいた。なにが恥ずかしいことなのかもわからないままに叫ぶのは勝手だと思う一方で、言葉が安く、軽くなった時代だからこそ、もの知り顔が繁殖したのだろうか。書く前の通過儀礼として、私は石牟礼さんと会話をさせていただく。あさまだき、心の中で。

昼過ぎに届いたのは藤原書店の「機」と2015年度のブックガイド。馴染の書店で早速注文を済ませた。冊子を手にするとまず確認するのは「読者の声」で、90歳、86歳とつづくご高齢の方々の声を拝読しながら、生き字引の確信を裏切らない言葉の重みを考える。

ニューアーク空港(NY)に降り立つと黒装束の集団が目に飛び込んできた。彼らがユダヤ人だと知ったのは間もなく、知人への借問によって。それでもなお、私の中でユダヤ人とイスラエルのつながりは不明のままだったため、点が点のまま線にはならずにいた。というのも、「彼らはジュウよ」とその日のメンバーにユダヤ系の参加者がいると、こそこそと耳打ちされ友人から教わった。それが差別的ななにかを含んだ物言いであることはもちろんわかるのだが、なぜここまで厭悪されるのかが私にはわからなかった。はじめてユダヤ人と話をしたのは東京の乃木坂で。すこし熱すぎる人だったのが、嫌悪の対象にはなりえない。

フランスにやってきてからというもの、フランス社会を語るにあたり、私はキリスト教の歴史にただならぬ関心を抱くようになった。祝日からはじまって、国の屋台骨として色濃いキリスト教のニオイを嗅ぐせいで。ユダヤ人の歴史、イスラームやパレスチナ問題、必ずといっていいほど比較される女性の社会進出や出生率は、日本が遅れている、フランスを目標に、という話に落ちつく出来レースだとうんざりする。一方で、専業主婦が無年金であるという話とセットで聞く機会のなさに疑問を深めてきた。しかも、どういうわけか「社会進出=キャリア志向」の女性というイメージも強いのだが、現実をふまえると、本当にそうだろうか、と私は首を傾げたくなるからだ。極東の島国からやってきた、ジェンダーに傾きすぎた女性の根底には専業主婦が悪のような捉え方があって、労働が善であるという強い思い込みもそれに拍車をかけている。私が感じ続けているその「なぜ?」がキリスト教と無縁ではないと嗅ぎつけたのは勘が冴えていたのだろう。

ユダの福音書は『異端反駁』(180年頃)にてグノーシス主義異端の書として言及されていたもので、国への忠誠を誓い殉死を渇望していたローマ皇帝がキリスト教を取り込んでいく際、どのようにそれを改ざんし国教にしてきたのかがわかると実に面白い。今日のフランスや地中沿岸の根深い問題が浮き彫りになるからだ。反対に、それを知らなければ、真のフランスはみえてこないのではないか。



詳細は次号につづく。



Comment

MGB says... ""
私の愛読しているブログにもまったく同じ文言がありましたが、気のせいでしょうか。不調ゆえお役に立てず申し訳ありません。
2015.05.06 09:31 | URL | #ZJmJft5I [edit]
copine says... "初コメ失礼します♪"
最近…踏んだり蹴ったりの日々を過ごしてる私です…(汗)

ボキャブラリーなくて申し訳ないんですけど
MGBさんのブログ良いですよね。
読ませてもらって肩の力が少し抜けた気がします(〃´∀`)

だからもっとお話させてもらえたらなって(o^-^o)
そしたら心の奥で凝り固まったものが解れる気がして!

MGBさんに私の悩みを少しでも聞いてもらえたらすごくありがたいです。
ちょっとした感想でも大丈夫ですから♪

このままコメントで相談というのもあれなので直接お話しさせて欲しいです。
嫌だったり迷惑ならこのコメントは消してしまってください。

突然すみませんでした。
連絡もらえるの待ってます( ´∀`)
2015.05.06 09:15 | URL | #- [edit]

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