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 大阪万博から45年、「太陽の塔」が再びブームになっている。特集本ができたり、超合金のロボになったり。芸術家の岡本太郎(1911~96)が作り上げ、万博記念公園(大阪府吹田市)にたたずむその姿は、今なお創作への刺激を放ち続けている。

 大阪市の梅田ロフトでは13日まで、誕生45周年を記念した「Re:TOWER OF THE SUN EXBIT みんなで太陽の塔展」を開催中だ。イラストレーターの安斎肇さんや漫画家の蛭子能収(よしかず)さん、お笑いコンビ「ラーメンズ」の片桐仁さんら25組のクリエーターが作品を寄せた。太陽の塔に込められたメッセージに「返信する」のが企画の趣旨だ。

■「新しさ」今も

 入場者数は予想を大きく上回る。訪れた大阪府箕面市の大学生、武田健志(つよし)さん(18)は「人によって様々なとらえ方ができるデザインが魅力。いろんな想像ができることで、『新しさ』が今も続いていると思う」。東京都世田谷区の会社員木田哲路(あきみち)さん(33)は「芸術作品として存在感がある。こうして多彩な作品に生まれ変わって、もっと広がっていってほしい」と話した。

 ロフトの担当者、虎田晶子さん(54)が企画したきっかけは、昨年9月に出版された「太陽の塔Walker」(KADOKAWA)。太陽の塔を特集し、漫画家やイラストレーターが描き下ろした作品を掲載。虎田さんは「愛情を持って真剣に太陽の塔と遊んでいて、めちゃくちゃ面白い」と触発された。

 編集した玉置泰紀・ウォーカー総編集長(53)によると、90年代以降、太陽の塔をモチーフにした小説や漫画などのアート作品がどんどん増えた。「太陽の塔が岡本太郎から独立して1人で歩き出したようだ」

 太陽の塔そのものの魅力を本にしたいと考えていた時、大手玩具メーカーのバンダイ(東京都台東区)から「超合金 太陽の塔のロボ」が発売されると聞き、ロボを大々的に特集する形で一気に出版が実現した。

 ロボは74年から続くバンダイの大ヒット商品「超合金」シリーズと岡本太郎作品とのコラボ商品で、元の「塔形態」に手足がついた「ロボ形態」、必殺兵器がせり出した「超兵器発動形態」へと三段変形する。

 ロボのデザイナー野中剛さん(49)は、「公園の緑の中から『ぬっ』と伸びた塔が何とも『特撮』的アングルで、『太陽の塔には足があるはずだ!』という妄想を具体化したい衝動が生まれた」と話す。同社によると、ロボは飛ぶように売れ、現在も品薄状態。広報チームの担当者は「万博世代、特に大阪近辺の人から人気が高い」と話す。