コミュニティはフェーズによって書き手・読み手のどちらが重要か変わる
by 古川健介(起業家)
この記事について
対象者
コミュニティサービスを立ち上げようと思っている起業家に対して、どうやればうまくいくかを説明しています。
はじめに
コミュニティサイトというものがあります。コミュニティサイトとは、人と人がコミュニケーションする場を提供するところで、たとえば
- 2ちゃんねる
- mixiコミュニティ
などがあげられます。これらはシンプルにコミュニケーションをする場ですね。他にも、何か話題の対象となるものがあって、そこに対してコミュニケーションするサービスなども、広義の意味で、コミュニティです。これは
- クックパッド
- 価格.com
- 食べログ
- はてなブックマーク
などがあげられる感じですね。
さて、僕は、コミュニティサイトを今までいくつか作ってきたのですが、ここで重要なのは、書き手と読み手の量の関係だなあ、と思っています。
なぜなら、ビジネスモデルやGrowthHackを考えるときに、書き手の数を伸ばすのか、読み手の数を伸ばすのか、どちらを重要視するのかが非常に重要だからです。
結論からいうと、「初期の頃は書き手を増やすようにして、ビジネスは読み手をベースにする」のが正解だと思っています。
初期:書き手を増やそう
初期のコミュニティサイトは、書き手を増やす必要があります。
なぜでしょうか?当たり前なのですが、コミュニティサイトの場合、
- 投稿したものがコンテンツになる
- コンテンツを見に人がやってくる
- 見に来た人の一部が投稿をする
という流れになるからです。しかし、初期の場合だと
- 投稿する人がいないからコンテンツがない
- コンテンツがないから見る人が来ない
- 見る人が来ないから投稿する人が増えない
というふうになってしまうからです。「にわとりが先か?たまごが先か?」という問題ですね。さらに悪いことに、読む人がいないサイトには、投稿する人なんて出てこないわけなので、より悪循環です。
ではどのようにすればいいのでしょうか?答えとしては、
- 読み手がいなくても投稿したくなる仕組みにする
ことです。優れたコミュニティサイトは、ここのポイントを抑えているのです。
とにかく、コンテンツを書こうと思っている人たちを、その人達に向けたサービスで提供するといいのですね。
たとえば、食べログは、初期の頃は、「自分だけのレストランガイドを作くろう」というのをコンセプトにしていました。
リリース時の2005年くらいは、「食べ物のブログを投稿できるサービス」という意味合いが強く、店探しができるサービスではなく、レビュアーに焦点があたってたのですね。
食べ物のお店のレビューを投稿する人は、自分のグルメ情報を快適にアウトプットできる場所に集まるわけです。その意味で、食べログは、「livedoor東京グルメ」などと比べてもモダンなインターフェイスになっており、快適に投稿ができるという利点がありました。また参考になった票などが集まりやすく、投稿をするモチベーションが高くなっていたりもしました。
当時は、機能強化も、マイページの機能が重視されており、検索やレーティングロジックはある程度口コミと写真が集まってから本格的に取り組み始めた、という流れなのです。
これが、初期の頃から「店探しをしよう」とすると、レビュー数が少ない初期のころは、快適な店探しはできなくなってしまいますよね。結果として「情報量が少なく、使えないサービス」となり敬遠されてしまい、結果としてレビューを投稿するユーザーも増えないため、流行らないコミュニティサイトになってしまうというわけです。
しかし、「グルメの情報が好きな人が、投稿しやすいツールとしてのサービスがある」というところから投稿を集め、そのあとに「グルメが好きな人が投稿しているレビューがあり、好きなレビュアーからいい店を探せる」フェーズにいき、最後には「店の評価が集まっているので、信用できるお店探しができるサービス」になるという流れにしておけば、それぞれのフェーズで、ユーザーに満足してもらうためサービスが発展していき、結果的に大きなサービスになるのです。
このように、コンテンツが集まるまでは、書き手にフォーカスをして、その人達のためにサービスを作っていく、というのが定石だと思っています。
中期〜:読み手を増やす
中期からは読み手を増やす方向にいくのがよいと思っています。
注意したいのは、読み手にフォーカスするのは、読み手が増える十分なコンテンツがたまってからです。投稿しないユーザーでも楽しめる最低ラインにはたどり着いている必要があります。(これはサービスによって、どのくらいのコンテンツかどうかはまちまちなので、各サービスで決める必要がありますが・・・)。
では、なぜ読み手を増やす必要があるのでしょうか?それは
- 投稿の質があがる
- ビジネスモデルの構築
の2つです。それぞれ見て行きましょう。
投稿の質があがる
まず、読み手が増えれば増えるほど、そのうちから投稿してくれる人が来てくれます。また、読み手が多いと、書き手のモチベーションがあがるので、より投稿数が増えます。
これだけでもメリットとしては十分なんですが、読み手を意識すると、投稿の質が上がるという、さらなるメリットが出てきます。
たとえば、読み手が多くなく、あくまで投稿を楽しむという、初期のステージだった場合、投稿そのものが目的になります。それはそれでいいのですが、読み手にとってはあまりおもしろくないという状態になりがちです。
それが、読み手が増えてくるにしたがって、だんだんと読み手に評価されるようなものを投稿しようというモチベーションに書き手がなっていきます。そうすると、さらに読むユーザーが増え、その中から書くユーザーになる人も増え・・・という形になっていくのですね。
サービス提供者としては、いい投稿にたいして「いいね!」のようなポジティブなフィードバックをするような仕組みを、この段階でするのもいいかもしれません(初期のうちに作っちゃうと、ぜんぜんいいねつかねーじゃん、となりがちなので注意です)。
ビジネスモデルの構築
そして、ビジネスモデルの構築という面でも、読み手を増やすというのは重要です。
というのも、たとえば「食べログに投稿をしたい」という人は、数はそんなにいません。食べ物のレビューをきちんと書くというのは、それなりのモチベーションと技術が必要だからです。
僕がやっていた感覚的には、1%〜10%が書き手で、90%〜99%が読み手という感じです。
つまり、数でいうと、コミュニティという場に投稿をするユーザーは、多くなく、ビジネスとして成り立たちづらい。
ソーシャルサイトとして有名なTwitterですら、2011年の段階で、40%が読むだけと報道されていました。
Twitterのアクティブユーザーが1億人に、40%は読むだけ
他のソーシャルサイトの割合は以下のまとまっています。
【2015年保存版】ソーシャルメディアのデータまとめ一覧。ユーザー数から年齢層まで、SNS運用担当者は必見!
基本的には自分のものをアップデートする役割のソーシャルサイトですら、読むだけの人が3割近くいるのがわかります。
ソーシャルサイトですらこうなので、知らない人が見る場では、ぐっと比率がさがるのですね。
となると、コンテンツが集まってからは、そのコンテンツを見に来る人を増やし、そこでマネタイズをしていく必要があります。
マネタイズの方法は、それぞれですが、たとえば
- 見る人から課金をする(ニコニコ動画、クックパッド、食べログ)
- 見る人に向けて広告を打つ(はてな、mixiコミュニティ)
などです。これらは、一定の規模感がないとうまくワークしないので、初期の段階では作っても無駄ですが、読み手が十分に集まってきてからは、きちんとしたマネタイズポイントになるでしょう。
おわりに
という形でコミュニティサービスを立ち上げる時の順番について説明してみました。
コミュニティは、人と人がやりとりをする場なので、非常に
勘違いしちゃいけないポイント
こういう話をすると「LINEやFacebook、Twitterなどのサービスはどうか」という話になりがちなので、補足しておきます。
僕の定義では、これらはコミュニティではありません。「コミュニケーション」はしているのですが、コミュニティ、という場はないからです。こういうケースの場合は、「いかにコミュニケーションをしているのか」が重要になるので、コミュニケーションの回数が重要になります。また、ビジネスとしても、コミュニケーションをする人に向けて行うほうが正しいのかなと(スタンプなどがこの例)。
少なくても、コミュニティと、コミュニケーションサービスは、似てるようで少し違うので、分けて考えたほうがいいかなあ、と思っています