若松真平
2015年5月7日15時35分
グラスの底に立体的な富士山をかたどった「Fujiグラス」が人気だ。注ぐ飲みもの次第で、見慣れた青から葛飾北斎も描いた「赤富士」まで表情を変えるのが魅力だが、注文しても届くのは1カ月半以上先。人気に火がついたきっかけは、中国版ツイッター「微博(ウェイポー)」だ。
Fujiグラスを作っているのは東京都江戸川区にある「田島硝子(ガラス)」。1956年創業の小さな会社で、経産省から伝統的工芸品に指定された「江戸硝子」などを職人が手作りしている。Fujiグラスは今年1月の「おみやげグランプリ2015」(観光庁後援)で観光庁長官賞を受賞した。
実は、富士山をモチーフにしたのは今回が3作目。2013年にホテルから委託を受けてOEM(相手先ブランドによる生産)供給した「富士山宝永グラス」が始まりだった。底から飲み口にかけて次第に細くなっていく形が富士山をイメージさせる商品。翌年には、ひっくり返すと富士山の形になる祝盃(しゅくはい)を発売。それぞれ1万個以上売れた人気商品だ。
そして、「これが最後」と開発したのがFujiグラス。今度は日常使いできる商品をつくろうとグラスに。「型吹き」と呼ばれる技法で、溶解炉で溶かしたガラスを、吹き竿(ざお)に巻き取って型に入れ、息を吹き込んで成形する。
底の部分は富士山の形をしたくぼみをつけるため厚く、唇に触れる部分は口当たりをよくするために薄くする必要がある。ところが一品ずつ手作りなので、巻き取るガラスの量や息を吹き込む加減などが難しい。それもあって、作れる数は1日300個が限界だ。
田島硝子の商品は百貨店での販売が中心だが、洋食器などを取り扱う会社のネット通販でも一部販売されている。今年2月の発売直後、この商品画像が中国版ツイッター「微博」で広がり、「富士山のグラスはどこで買えるのか」「まとめて買ったら安くなるのか」といった問い合わせが寄せられるようになった。そして、3月には日本のテレビ局が情報番組で取り上げ、注文が殺到した。
代表取締役の田島大輔さん(39)はこう話す。「伝統工芸というと年配の人にしか興味を持っていただけないことが多いです。でも、うちはワイングラスなど日用品が中心の会社なんです。だからこそ、手作りで面白いものをつくって手にとってもらいたい、次の世代の人に伝えていきたいんです。Fujiグラスがそのきっかけになればと思います」
◇
Fujiグラスはロックグラスとタンブラーの2種類があり、価格はそれぞれ税込み5400円。(若松真平)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!