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JIRA Portfolio によるプロジェクトポートフォリオ計画と運営

JIRA Portfolio とは


JIRA Portfolio とは、2014年9月に Atlassian Summit 2014 の基調講演で発表された JIRA のアドオンです。JIRA では、実測駆動なプロジェクト管理が行えますが、JIRA Portfolio を適用するとプロジェクト包括的に、チームリソース配置、イニシアティブ、エピック、ストーリーといったよりエンタープライズ指向な階層化したバックログの取り扱い、そして、リリースやストリームを計画、運営することができます。

平たいことばで言ってしまうと、「プロジェクト ポートフォリオ管理 (PPM) が行えます」となってしまいますが、単なる(というと語弊がありますが)、全体計画を作るだけや、作った計画通りか、つじつまを合わせる PPM ではなく、JIRA 本来の強みである「実測駆動」を活かすことができるものとなっています。

 

JIRA Portfolio に期待してはいけないこと


さて、最初に言っておきたいのが PPM だからといって、「工事進行基準に従った計画と管理が行える!」とか、「EVM で見積もりと進捗を測れる!」と思ってはいけません。JIRA Portfolio は、あくまで、実測駆動です。全体計画を立て、その通りに進んでいるかとか、原価計算するとかといった目的で使うものではありません(※少なくとも現時点でそういった機能は備わっていません)。

 

JIRA Portfolio でできること


では、JIRA Portfolio でできることはというと、

  • チーム要員とそれぞれのスキルの管理
  • バックログ(イニシアティブ、エピック、ストーリー)の管理
  • リリースとストリームの管理

となります。これらの組み合わせにより、複数のプロジェクトの運営を計画し、その後の状況を見ていきます。

計画では、各リソースを調整しながら、「再計算」によって状況が変動し、把握できるようになります。

また、プロジェクトの進捗は、実績時間や課題(タスクなど)の消化数など定めた尺度で測ることができるだけでなく、計画とのかい離もグラフィカルに把握することができます。

くどいようですが、EVM とかそういったものはありません。

実績は、JIRA 本来のお作法で行えますので、JIRA とGit や、CI と連携させ、追跡可能性を確保しておけば、実績値とのもので測ることができるようになります。このあたりが「強み」となります。PPM 専用ツールは多機能ですが、開発ツールとの連携などが乏しく、実務と計画や実績記録が離れてしまいかねません。要するに、絵にかいた計画と進捗と、開発メンバーによる実績がかい離してしまうことになりかねないということです。その点、JIRA をベースにしておけば、実績をもとに、計画との差異を把握できるので、「実測駆動」に複数プロジェクト見ることができるということになります。

 

画面で見る


といったところで、以下に画面ショットを貼り付けておきます。

ただし、ここから先はテンポラリだと思ってください。好評であれば、以下をきちんと画面ショット付きで解説します。フィードバックなければ、このまま放置しますw

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こちらがチームの計画です。チームと人員について、実働可能時間や、チームの開発スタイル(スクラムか、Kanbanか、トラディショナルか)、スキルを定義します。基本的には、チームでプロジェクトに取り組むスタイルですが、状況に応じて、増減員したり、隣のプロジェクトと兼務したり、、、となったときに、下記にある全体計画や個々の計画への影響が可視化されることになります。

 

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こちらが、リリース計画です。リリースの計画は、開始日と終了日とスケジュールが動的か固定化で定義していきます。開始日は、その前のリリースに依存しているとか、Kanban 方式で終了日は流動的(動的)など計画に組み込めます。したがって、リリースの依存関係を明確に定義することができるわけです。これは、実績と密接にかかわってきますよね。遅延していたら、どこのリリースに影響があるのかわかります。延期するのか、人員増強が可能なのかを検討できるということですね。

 

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こちらがバックログの管理です。事業計画やビジネス目標といった大項目を扱う「イニシアティブ」、大き目なストーリーとしての「エピック」、そしてストーリーを階層化して表現できます(※イニシアティブなど使わなくても構いません)。

これらにリリースとチーム、メンバーをマッピングしていきます。また、見積もり(日または、時間)を定義することで、人的リソースとの兼ね合いを把握することができます。これらを JIRA の課題(Feature, Epic, Story) として起票したり、既存の課題をマッピングすることができるので、マッピングしてしまえば、いつもの JIRA でプロジェクト運営していると、この JIRA Portfolio に反映されることにあります。したがって、進捗が芳しくないと、それにより、リリースタイムラインがレッドラインになって影響が大きいことを知ることができます。

 

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レポートでは、各リリースでの状況など視点を変えて把握することができる工夫がされています。

 

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これは、JIRA Agile の Scrum の計画(プラン)の画面です。

 

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こちらは、JIRA Agile の Scrum の作業=タスクボード です。

 

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こちらが、JIRA Agile でのレポートです。

 

このようにプロジェクトの運営は、引き続き JIRA で行うことができます。JIRA Portfolio を使ったからといって何か特別な管理をチームが意識する必要はありません。

1 Comment

  1. 2014年11月14日    

    これ便利かも。某社でTrac扱い切れなくなってるらしいので勧めてみようかな。

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