何よりも印象的なのは、表紙カバーに飾られた著者二人の写真。彼は太い眉が印象的な快活そうな好青年、彼女は笑顔に愛嬌があるなかなかの美女、どこから見てもお似合いの、好感がもてる若いカップルです。
実際、二人は正規の法的手続きをしたれっきとした夫婦なのですが、ただ、普通と違うのは、彼が元女の子で、彼女が元男の子だということ。したがって、戸籍上は、彼が妻で、彼女が夫と記されているのです。
この本は、性同一性障害を背負って生まれ、望まない性を強制される子供時代、いじめ、自殺未遂などを経て、永久にひとりぼっちだとあきらめていた元女の子の彼と元男の子の彼女とが、出会い、恋をし、結婚するまでの物語です。
「生まれてこなければよかった」と思っていた二人が「生きていてよかった」と思えるようになるまでの軌跡は、人生を諦めずに「捜すこと(Search)」の大切さを語っています。
苦悩と葛藤に満ちた過去を語りながら、全体的に他の性同一性障害者のライフヒストリーに違うさわやかさを感じるのは、お互いを信じ、「夜はきっと明けるから」という希望を心に抱いて生きていこうという二人の姿勢が根底にあるからでしょう。
身体や性器の形を変えることが大事なのではなく、性別を越えて生きいくことが大事なのだということを教えてくれる、誰もが二人の将来に「幸多かれ」と祈りたくなるような、そんな一冊でした。
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