(2015年5月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ギリシャの首都アテネの議会に掲げられたギリシャ国旗〔AFPBB News〕
ギリシャ政府と他のユーロ加盟国との関係は、不幸な結婚にますます似てきている。相手の顔など見るのも嫌だと双方が思っているし、お互いを信頼する気持ちも崩れてしまっている。継ぎ当てのような関係修復の努力は続けられているものの、いずれもうまくいっていないようだ。
本物の結婚の場合、こうしたジレンマの解決策として昔からよく知られているのは離婚である。
離婚で片を付ける時には、双方が金銭面で苦労をするのが普通だ。
それでも別れてしまうのは、悪い関係から逃れるためなら大きな代償を払ってもいいと思っているからにほかならない。
ギリシャと他のユーロ加盟国は、もうそういう状況に達してしまっている。両者の関係は破綻している。清算して新たなスタートを切る時が来ている。
ギリシャのユーロ圏離脱――Grexit(グレグジット)――がもたらす結果を恐れる向きは、両国の関係を結婚にたとえるのは誤解を招く恐れが強いと反発することだろう。夫と妻の結びつきを解消する手続きはすでに確立されているが、通貨同盟の解消となると前例はずっと少なくなる、というわけだ。
ここまで来たら、高い代償払っても離婚
この解消に伴うリスクを、筆者の同僚ジリアン・テットは先日掲載のコラムで手際よく整理している。
これによれば、グレグジットには法律と金融の面に計り知れないリスクがあるため、もし実行されれば、大手投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を引き金に2008年に始まった世界的な金融メルトダウンにつながりかねないという。