達成感というと人の役にたったというものがないと得られませんので自身の投資業ではなかなか得られません。仲介のお仕事ではたくさんありますね。では最初に頭によぎりました昔話(といってもそんな前ではないですが)を一つさせていただきましょう。少々長くなると思います。
2010年末頃。当時私はとある不動産会社に所属する売買仲介マンだったのですが、街場の不動産会社ですので主は住宅をお探しの方をお手伝いしていました。その日のご案内と年末の挨拶回りを終え駐車場に車をおいて事務所に戻ろうとすると30代後半と思われる見た目はいわゆるオタクそのものと言える男性がお店に入ろうとしつつも躊躇をしていました。そこで「賃貸ですか?」のような声をかけたのですが、どうやら家が欲しいという事でご要望を聞くに至ったのです。
どうやらそのお客様(Nさんとします)、不動産会社に不満がずいぶんあったようでよくしゃべってくれたのを覚えています。要はだいぶ不動産会社まわったけど、どこも物件を紹介してくれないという事を私に訴えたかったようなのです。独身のNさんは一人暮らし。賃貸で確か5万円のアパートに住んでいました。ずっと家賃払い続けるのはあまりにもったいないから家を買いたいという希望。でも真意としては色んな不安があるのだろうなという事が感じとれます。
話を聞いているうちになぜ他の不動産屋さんが物件を紹介してくれなかったかはわかりました。なんとNさん、アルバイトだったのです。派遣とかではありません。アルバイト。おっとこれはさすがに普通に考えたら無理だぞってなります(笑)
でも、Nさんはめちゃめちゃ真剣に家が欲しいのです。話をしている内に、アルバイトといってもかなり勤続年数は長いし、そもそもアルバイトやめたら生きていけないわけだからなんかしらの仕事をしていくのは確かだなとか、現家賃と変わらないフローにしてあげれば危険性はないか。
等々全く意味の分からない論理で話を聞いてあげた記憶が非常に強く残ります。(本来全く通用しない、あり得ない論理。)もちろん、住宅コストのフローベースで考えると対象物件の予算は1000万円以下が望ましいということもあり、一戸建希望だったので(これは少し助かる部分でしたが)通勤等を踏まえてエリア範囲の話までしていました(笑)
今思うとなぜ閃いたのかが分からないのですが、私の中で何かが閃きました。もしかしたらだけど…やってあげられるかもしれない。と。そして、論理思考を固めるからしばしまってくれとしてその日はお帰り頂きました。
Nさんの件に集中できる時間を作り…超絶思考。そして、出来そうな方法を見つけ出しました!その瞬間、さすがに「おいおいオレすげーよ!超スゲーよオレ!」状態に入りガッツポーズ!まさにロッキーのガッツポーズに匹敵するほど力強いのを決めながら興奮冷めやらぬという感じ(笑)
そして、型にはまる物件を見つけ(もちろん住みたくなるような物件です)ご案内の結果、まさかこんなきれいな家を紹介されると思っていなかったのか相当気に入ってくれてこれでお願いしますと。喜びの中で契約締結へと進みました。しかし、そうは簡単には事は進みませんでした。
Nさんの住宅ローンには一部フラット35を利用した融資を使う事にして組み立てていました。フラット35には「適合証明書」というものが必要です。契約前にその旨、売主にお伝えし取得できるという事だったので進行してきたわけですが、なんと出せるよと言っていた設計士のじじいがこの段になって「やっぱ出せない。ゴメン」と言ってきたのです。
何言ってんだコノヤローぶっ飛ばすゾくらい怒り心頭となりましたが、でないものは仕方ない。私と売主側とで全力で「適合証明書」を出せる設計士を探します。しかし、しかし、どうやっても見つからなかったのです。。
契約書には適合証明書の取得を条件としていたので白紙解約となったのですが、この精神的ダメージは経験したことのある人にしかわかりません。Nさん泣きそうでした。私ももらい泣きしそうでした。
だけど、これではっきりした事があります。この時は適合証明書が取得できなかったからダメでしたが、Nさんは家が買えるのです!だから絶対今回以上の物件見つけるからね。と励まし。
そしてその日はやってきました。2011年3月11日の朝。ついにNさんの家候補を発見!前回よりもさらに質の良い物件。しかも、既に適合証明書も取得済み!ここで二度目のロッキーをかました事は言うまでもないでしょう。
速攻でNさんに電話し、じゃぁ明日、見に行きましょう!(もちろん遠征)と約束。喜ぶだろうなぉとか思いつつ幸福感いっぱいだったのですが、午後…地震です。東日本大震災が発生…そしてあの地獄絵図
なぜかみんなふさぎこみ、この世の終わりかのような雰囲気。社長も真っ青。なんかやべー感漂っていましたが、ふと。これどこの不動産屋もこの雰囲気かな?と。という事は超いい物件を独占的にお客さんに紹介できるじゃないかって!
そして超難しい案件で保留となっていた人とか中心に速攻で電話かけまくり、もちろん断る人もたくさんいましたが、今なら選びたい放題だよって言ったら結構見学しようってなりました。当時一応エースを自負してましたから「しばらく誰も売り上げ作らないだろうな」って思いじゃ俺がやるっきゃないねってやる気スイッチが入ったのです。社長にも「オレいるから大丈夫ですよ」なんて大見え切って(笑)。鬼人モード突入~(実際に3か月間くらい一人で全員分くらい取引しました)
Nさんから電話がかかってきました。「明日って無理だよね?」。私「そんなことないですよ、見に行きましょう!高速止まってたら下から行けばいいですから」とか訳の分からない返事(笑)。やっと見つけた物件を逃したらかわいそうすぎると思っていたのです。
そして翌日、朝ガソリンがヤバいってラジオで聞いて速攻でスタンドに駆け込みます。なんと長蛇の列。いやぁ危なかった。ギリギリ私は入れられたのです。そしてNさんを拾ってさぁ遠征~。不謹慎に思われるかもしれませんが、行ってよかったですよ。Nさんの喜び様と言ったら表現できません。
そして、売主さんにオファーの電話。「え、今日行ってきたの?」って驚かれましたがもちろん喜んでくれます。そして契約。だいぶ苦労した案件でしたが今度はスムーズに取得頂けました。ものすごいNさんが喜んでくれたからやはりやりがいを感じました。満足感も。
そして、何よりも誇りに思うのはあの地震で仲間の死んだかのような雰囲気をこの契約をきっかけに変えられた事ですね。社長は本当にうれしそうだった。この取引は1000万円以下の取引でしたから売上等は無いに等しいですが、安心感を皆に与えられたんだと思います。もちろん鬼人モード継続して死ぬほど取引しまくりました。みんなに案内手伝ったりしてもらいながら。そうすることで活気はどんどんもどってく。
この世のものとは思えない悪い事と尋常じゃない案件の取組み、心に火が付いたっていう合わせ技で達成感はかなりあったかなって思います。
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