【社説】内政も外交も成果がない朴槿恵「無気力」政権

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が近く公式日程を再開する予定だ。朴大統領が体調を崩した影響で、韓国政府はここ2週間にわたり代行体制が続いている。朴大統領が先月16日に中南米4カ国歴訪に出発した直後、李完九(イ・ワング)前首相が辞任したため、朴大統領不在の今、崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政部(省に相当、以下同じ)長官が政府のトップとして職務を代行している。朴大統領は先月27日に帰国した直後、過労による胃けいれんと咽頭炎のため公式日程を全てキャンセルし、今も静養中だ。

 このような現状を受け、政権運営の主導権は現在、与党セヌリ党と国会が握っている。セヌリ党は大統領府と政府の反対を押し切って野党と公務員年金改革案に合意したが、すると担当部処(省庁)である保健福祉部の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官がセヌリ党本部を訪問して抗議した。まさに笑うに笑えない事態だ。大統領府も与野党が国民年金改革で一致したことに対し、公開の席で「明白な越権行為」などとコメントした。しかし大統領府には再交渉を求める気概も迫力もないため、気弱な人間が後ろでぶつぶつ不平を言っているようにしか見えない。これでは党と政府と大統領府間の不協和音がまさに深刻なレベルに達していると言わざるを得ない。

 ちなみに大統領府と政府が年金改革の与野党合意に最後まで反対を貫く可能性はほぼない。今回の与野党合意については一部で「薄味で味気のない改革」などと皮肉られてはいるものの、与党の一部からは「大統領府は『反対した』という記録を残すためのパフォーマンスを行っているに過ぎない」といった指摘も出ている。ただ朴大統領の任期がまだ半分も過ぎていない今のこの時点において、大統領府がすでに政策面でのリーダシップを発揮できず、脇役に追いやられたような感を持たれるのは決して望ましいことではない。

 来年4月に総選挙を控える与党としては、有権者に迎合するような動きが今後も増えるだろうが、問題はこれに大統領府と政府が引きずられる恐れが高まっていることだ。大統領府は「次の課題は労働市場改革」と公言しているが、労働団体の代表が先月初めに交渉を拒否した影響で、労・使・政による協議は始まる前から決裂状態だ。そのため今になって政府が改革に乗り出そうとしても、どこから何を始めれば良いのかさっぱりわからないような状況になっているのだ。

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