韓国の4月の消費者物価は0.4%の上昇にとどまった。年初のたばこ価格値上げ分を除けば、実質的に物価下落となる。実質的な物価下落は今年2月から3カ月連続で続いており、デフレを懸念する声が高まっている。一度デフレが発生すれば、経済主体が消費と投資を先送りし、景気に致命的な影響を与える。
デフレによる不確実要素は、韓国経済の成長をけん引してきた輸出にも悪影響を与えている。4月の輸出は前年同月比で8%減少したが、世界的な低物価による輸出単価の下落が主因だ。経済の両軸である内需と輸出がいずれもデフレに脅かされている格好だ。
■日本よりも低い物価上昇率
最近の韓国の物価上昇率は日本よりも低い。3月の日本の消費者物価上昇率は2.3%で、韓国は0.4%だった。日本の消費者物価指数は昨年4月の消費税引き上げ、人為的に物価上昇率を2ポイント引き上げた効果(日本銀行分析)が含まれている。しかし、日本の数値から消費税率の引き上げ効果を除き、韓国の数値からたばこ値上げ要因を除いた上で比較しても、日本の物価上昇率は韓国を0.5ポイント上回っている。こうした逆転現象が今年に入って3カ月連続している。
こうした状況で、高齢化と産業化が相対的に進んでいる日本に比べ、韓国の経済活力が劣るのではないかという指摘が出ている。今年下半期にも状況は変わらない。韓国銀行は最近、原油安と消費低迷などを反映し、物価上昇率の予測値を既存の1.9%から0.9%に大幅に下方修正した。年間の物価上昇率が0%にとどまるのは、通貨危機当時の1999年(0.8%)以来となる。
低物価が長期にわたり続くと、今後商品価格が続落すると予想し、消費と投資が先送りされる傾向が出てくる。さらに資産価格の下落が加われば、物価のマイナスが続くデフレにつながりかねない。いったんデフレが起きれば、経済全体が縮小し、流れを反転させることが非常に難しい。日本の「失われた20年」がデフレの典型的な例だ。