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音楽から受けた大きな衝撃

村上さん、こんにちは。

10代の頃はロックで、20代ではクラシックでそれぞれガツンと衝撃を受けたことはあるのですが、ジャズは好きでこそあれ、未だに衝撃を受けたような記憶はありません。

これからまた経験するのかなと期待しつつも、もう若いときほどの衝撃は受けないのかな、と今から少し寂しく感じたりもしています。

村上さんは、30代以降に音楽で大きな衝撃を受けられたことはありますか? もしご経験がありましたら、どなたに衝撃を受けられたかも教えて頂けるとうれしいです。
(フシミクミン、男性、33歳、エンジニア)

そんなのたくさんありすぎて、いちいちあげていられません。そうだなあ、何があったっけ? たとえばローマで聴いたジョルジュ・プレートルの指揮はほんとうに素晴らしかった。指揮棒を持たずに、指だけで指揮するんですが、それが実にチャーミングで、出てくる音楽もその指そのままにチャーミングなんです。魅せられたように指の動きに見とれ、音楽に聴き惚れました。ベートーヴェンの五番と六番という組み合わせでしたが、これはすごかったなあ。こんなベートーヴェンもあるんだ、と目からうろこが落ちました。プレートルってレコードだとあんまり強い印象がないんですが、ナマはすごかったです。

村上春樹拝