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翻訳と創作のあわい

村上さんこんばんは。ついさっきまで都内の書店で柴田元幸さんと古川日出男さんのトークセッションを聴いていたのですが、そこで「翻訳はどこまで創作なのか? 創作はどこまで翻訳なのか?」というふうなことをお二人が話題にされていました。

そこでお聞きしたいのですが、村上さんは誰かの作品を翻訳している時に何かを「創作している」、あるいはご自身の作品を執筆している時に何かを「翻訳している」と感じることはありますか? 
(光洋、男性、32歳、僧侶)

僕は翻訳をかなり熱心にやっている小説家、というポジションにおります。で、小説を書くときと翻訳をするときとでは、はっきりとスイッチを切り替えています。セックスはセックス、ボートはボートです(ちょっと話が古いけどわかるかな?)。ですから、僕の意識の中では翻訳は翻訳、創作は創作という位置づけになっています。混じり合うことはまずありません。そうしないと話がややこしくなってしまいますから。

村上春樹拝