村上さんが以前、エッセイの中で「男性器ひとそろい持っているだけで電気系統に詳しくなくてはいけないなんて理不尽だ」みたいなことを書いていらっしゃったのを読みました。純粋な若者だった私は「まったくその通りだ」と思い、結婚しても夫には電気系統のことはもとより日曜大工的なことも期待せず、自分でやるようになりました。おかげで引き戸の戸車を替えたり、ウォッシュレットの取付け、お風呂のシャワー付カランの交換など、お茶の子さいさいです。ところがこの年末、夫の自転車のブレーキワイヤーが切れた際、その交換が出来ないことで「何でも出来ると思ったのに」となじられてしまいました。自分は何も出来ないのに……とむっとしたまま年を越し、二年越しに納得がいかない状態です。人間って欲望に際限がないのだなと改めて思う出来事でした。なのでその昔村上さんのことをなじった奥様を責めないであげて下さい。ちょっとイラッとされただけだと思います。
(ひまわりママ、女性、41歳、パート)
はあ、素晴らしい奥さんですね。僕もあなたのような女性と結婚したかったです。しかしご主人もとんでもないやつですね。何もできないくせして他人を批判するなんてね。ブレーキワイヤで首を絞めてやればいいのに……というのはもちろん冗談です。ほんとにやらないでくださいね。
村上春樹拝