私はフィンランド人の科学者でドイツに住んでいます。去年の8月に、日本人の友達が私の好きな事は何かと聞きました。私はすべての非日常的な事をしたり、非日常的な事をしている人に会ったりすること。又、それらは何の前触れもなく現れ私の人生になければならないジグソーパズルの欠片の様なもので、新鮮な感情また感嘆を与えてくれます。村上さんの本もそのうちの一つです。その友達が私が村上さんの愛読者だと知っていて、偶然ロンドンで村上さんのサイン会があるのを見つけ、私たちが住んでいるベルリンからロンドンまでサインをもらいに行こうと誘ってくれました。ロンドンの書店の前で7時間行列に並び続けた後村上さんにお会いした時、一言“Thank you“しか言えませんでした。私が一番言いたかった事は、“I wanted to thank you for writing stories that inspire my life!”
質問ですが村上さんもそんな出来事や人に逢ったことがありますか?
(ローオザ、女性、36歳、科学者)
そうですか。わざわざベルリンからロンドンまで来ていただいたんだ。ありがとうございました。感謝します。もっとゆっくりお話しできればよかったのですが、なにしろ人がとても多くて、流れ作業みたいになってしまい、時間がなくて残念でした。でも少しでもお会いできてよかったです。
僕は旅行をするのが好きで、いろんな土地のいろんな風景から、小説を書くためのインスピレーションを受け取っています。フィンランドはとても美しい国でした。光が澄んでいて、空気がきれいだった。そのことをよく覚えています。新しい小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』ではフィンランドが部分的にですが、舞台になっています。よかったら読んでみてください。
村上春樹拝