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 串本町田並上ののどかな集落へ東京から移住した芸術家夫妻が、朽ちかけた劇場跡の再生に挑んでいる。「文化の発信地にしたい」と来年夏のオープンを目指し、12日には、インターネットを通じて賛同者から集めた募金が目標の150万円を超えた。

 JR田並駅近く。屋根の上にフサフサと茂った鮮やかなツタが目を引く大きな平屋が、かつて「田並劇場」と呼ばれていた建物だ。内部は屋根の穴から日が差し、雨漏りで舞台の床が朽ちかけている。「田並劇場再生プロジェクト」を進める林茎子(けいこ)さん(34)は「これでもきれいになった」と話す。

 宮城県出身の林さんは、植物や身体を使ったパフォーマンスをするアーティスト。岐阜県出身の夫、憲昭さん(44)は太陽光を使った「日光写真画」などの作品を国内外で発表する。2人は長男の仁葉(には)君(5)を自然の中で育てたいと思い、憲昭さんが自然から着想や材料を得る作風だったことから、2010年に引っ越してきた。その後長女根夢(ねむ)ちゃん(2)も生まれ、4人で暮らす。