村上春樹様、このメールを読んでいただけると思うと、ドキドキしています。
私は、高松市に住んでいます。自宅の近くに神社があり、一昨年、20年に一度の御神体の開帳がありました。御神体はものすごく大きな石でした。いくら『海辺のカフカ』の星野君といえどもこれはひっくり返せないかなあと思いながら、見せていただきました。でも小説に出てきた石みたいに神秘的でした。
村上さんは、『海辺のカフカ』を書かれた後、高松市に来られたと何かで読んだ気がするのですが、また来られたりすることはありますか? ぜひまた、讃岐うどんを食べにいらして下さい。
(ミント、女性、51歳、教師)
そうですか。高松には実際にそんな石のご神体があるんだ。20年に一度しか見せてもらえないんですか。もったいをつけていますね……じゃなくて、ずいぶん貴重なものなんですね。四国はなかなか深いです。
僕は自由に思いついて物語を書いているだけなんだけど、小説内のいろんな物事が、現実と不思議にあちこちで繋がってくることがあります。そういうちょっとした「連結感」みたいなものも、僕にとって小説を書く喜びのひとつになっています。そのうちにまた高松に行って、心ゆくまでうどんを食べたいと思います。
村上春樹拝