村上さんの本は世界中の言語で愛読されていますが、その国々の文化を反映するような評価のばらつきの傾向ってあるんでしょうか? 例えば南米では初期の作品の評価が圧倒的に高いとか、最新作がめっぽう強いのは北ヨーロッパだとか(とかとか……テキトウな例えですけど)。
(匿名希望、女性、40代)
ばらつきのことはよくわかりませんが、外国では最初に『海辺のカフカ』を読んだとか、『1Q84』を読んだとかいう人が多いです。そういう人々が僕の作品に興味を持って、さかのぼって『ノルウェイの森』や『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『羊をめぐる冒険』を読んだりしています。日本の読者とは読む順番がかなり違っているかもしれません。本を読む順番って不思議ですよね。同時代の作家については、僕もだいたいクロノロジカルに読んでいますが、ドストエフスキーやカフカは順番でたらめに読んでいますから。読む順番なんて、どうでもいいのでしょうかね。
村上春樹拝