村上さんこんにちは。
このような機会を設けていただき、ありがとうございます。早速ですが相談です。私の両親は私が生まれて2年ほどで別居し、離婚しました。その後母親に育てられ、父親とは一度も会っていません。
『1Q84』にて普通の人は4~5歳、早くても3歳からの記憶しか残っていないとの記載があったように、私には父親と過ごした記憶は一切ありません。
しかしながら、父親はとある業界では著名な人物となったようで、インターネットで検索をすれば顔写真や現在の仕事について調べることができます。
子供の頃はこれといった根拠がなく父親に会いたい!と思っていましたが、成人してからは訪ねて行こうか悩んでは止めることを繰り返しています。中々勇気がいるようです。
もはや父親とは血と苗字くらいしか繋がりがないため、架空の人物のような気さえしています。そこで村上さんに質問です。
血縁があるという理由だけで父親に会うべきでしょうか?
難しいかもしれませんが簡単に答えていただきたいです。よろしくお願い致します。
(さきぽ、女性、26歳、会社員)
とても微妙な問題です。最初から直接お父さんに会いに行くというのは、ちょっとリスクが大きいかもしれません。まずメールか何かで連絡をとってみられたらいかがでしょう? そしてお父さんが今の時点で、あなたに関してどのような気持ちを持っておられるのか、前もって確かめられた方が良いと思います。そうしてもしお父さんがあなたに会いたいという気持ちを持っているとわかったら、そこでお会いになると良いのではないでしょうか。
24年という空白は大きなものです。その空白を埋めるのは、お互いにとって決して簡単なことではないと思います。そして心というのは傷つきやすいものです。ゆっくりと慎重にものごとを進めてください。うまくいくといいですね。
村上春樹拝