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 鹿児島県・奄美大島で、「幻の花」と呼ばれるケイタオフウランが盗掘された疑いが浮上している。同島が国内唯一の自生地で、環境省のレッドリストで絶滅の危険性が最も高い「絶滅危惧ⅠA類」になっている種だ。島に残るのは約30~40株とされ、地元の自然保護関係者は「絶滅しかねない」と心配している。

 原生林のこけむした枝先に生えるランの仲間で、直径1センチ足らずの淡い黄緑の花をつける。1980年ごろ、日本植物分類学会員の山下弘さん(63)=同県奄美市=が国内で初めて見つけた。

 盗掘が疑われるのは、山中の渓流沿いの木の枝に着生していた株。環境省自然公園指導員の常田守さん(61)=同市=が3月中旬に花や葉を撮影したが、同月下旬には根の一部を残してなくなっていた。株は木の枝にしっかりからみついていたといい、常田さんや山下さんは「暴風雨などの影響ではなく、人為的に持ち去られた」とみている。