E3 2015にブース出展をしないセガ。
世界最大のゲームショーであるElectronic Entertainment Expo(以下E3)、その2015年のブース出展をセガが見送った。
詳しくは下記の記事に書いてあるのだが、例によってGoogle先生によるハナモゲラ翻訳を敢行してみよう。
- セガは来月、ロサンゼルスのショー(訳注:E3の事)で独自のブースを出さない事をゲームインフォーマー(訳注:当記事の掲載サイト)は確認した。
- しかし、プラットフォームホルダーやPCパートナーと提携し、タイトルの出典は行う。
- ブース出展しないのは、来月セガ・オブ・アメリカ(以下SOA)の再編や移転に集中するためだ。
- セガの大きなタイトルの大半は、2015年後半から2016年にかけてのもので、SOAは再編後にこれらの幾つかの発表を行うことに集中しているので、今年のブース出展は行わないと、代表(訳注:SOAの代表者?)は述べた。
- セガは1月に重要な再編をアナウンスした。同時に、PCゲームとモバイルに再び集中することを計画していたと述べた。
※ハナモゲラ翻訳なので、間違っていたり抜けている可能性が大いにあります。
E3といえば、ゲーム業界の花形イベントである。そこに、かつて自らがプラットフォームホルダーとして華々しくブースを構えていたセガが、いくら再編やタイトル開発の影響とはいえ、ブース出展を見送るというニュースは、自分にとっては結構ショッキングなニュースだった。
クールな挑戦者だったセガ。
かつて、セガは永遠の二番手常に巨大な何かに立ち向かう挑戦者だった。
ファミコンが大ブームだった時代には、それ以上の性能を誇る「セガ・マークIII」で対抗。だが、サードパーティが実質参入しなかったため、セガ一社でゲームを供給せざるを得ず、ファミコンの牙城を崩すことは出来なかったが、雑誌「Beep」などの影響で、熱狂的なセガファンを生み出した。
その後、FM音源と連射機能を搭載した「セガ・マスターシステム」を投入するも、翌年に16ビット機の「メガドライブ」を発売するという先を考えない時代を先駆けた戦略を取り、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」等のヒットタイトルにも恵まれて、国内360万台、ワールドワイドでは3000万台超と、セガのハードとしては最高の販売台数を叩きだしたが、いかんせん日本ではスーパーファミコンという巨人の影に隠れた存在であった。
そして、新たな刺客としてソニーが参入した、いわゆる「32ビット次世代機戦争」では、当時のアーケードのヒットタイトルである「バーチャファイター」等のキラータイトルを引っさげて「セガサターン」を発売。一時はトップの座に踊り出るも、ファイナルファンタジーとドラゴンクエストを手にしたプレイステーションの前に惜しくも敗れ去った。
そして、セガは社運をかけて、結果として最後の自社ハードとなる「ドリームキャスト」をいち早く市場に投入する。秋元康プロデュースの自虐的な宣伝も話題になり、ドリームキャストはヒットするかもしれないと思われた。だが、基幹部品であるグラフィックスチップ「PowerVR2」の歩留まりの悪さが祟り、初回販売量は当初の目論見よりも大幅に少なかったと言われている。
結局、プレイステーションの後継機であるプレイステーション2が発売されると、ドリームキャストは苦戦を強いられる事となり、最終的にはハードウェア事業からの撤退が決定された。
こうして、文章にして書いてしまうと、たしかに「セガなんてダセー」かもしれない。だが、この頃のセガには言い知れぬカッコよさ…世間的にメジャーなものに対抗する、クールな挑戦者というイメージがあったのだ。
No1を目指すプラットフォームホルダーとしての自負と誇り、そして市場を育て維持しなければならないという責任が、セガのゲームのクオリティを支えていた。だからこそ、熱狂的なセガファンが生まれたのだろうと思う。
縮小していくセガ。
近年、セガは日本においてヒットタイトルをほとんど排出できていない。
いや、実際には初音ミク関連のタイトルや、龍が如くシリーズなどの「ある程度の安定的な売上を期待できるタイトル」は出ている。だが、以前のような、「業界を変えてしまうほどのインパクトをもったタイトル」は、もう今のセガには期待できない。
海外ではそれなりにヒットゲームを排出している。
昨年はCreative Assembly社開発の「ALIEN: ISOLATION」がミリオンヒットを記録したし、PCゲームでも、Sports Interactive社によるサッカーシミュレーションゲームの定番「Football Manager」シリーズが継続的に発売されている。
だが、そういったPC中心のラインナップは、日本とは断絶された状態にあると言っていい。かろうじて、「ALIEN: ISOLATION」が今年になってやっとローカライズされる程度だ。
そして、その海外デベロッパも、今回の再編の影響を受けてどうなってしまうのかが、まだ見えてこない。万が一、そういったフランチャイズを手放す、あるいはもう意欲的な新規フランチャイズは開発しない、ということにでもなれば、ますます海外でのセガのデベロッパ・パブリッシャとしての存在感は希薄になっていくだろう。
ましてや、今年はE3の独自ブース出展を見送るのだ。
この決定は、海外のメディアやファンに「セガはもうだめなのかもしれない」というイメージを与えかねない。
今年後半以降から来年にかけてのラインナップに期待しろというセガの言葉を、額面通りに受け取っていいのかどうかも、現時点では不明である。
「セガゲームス」の未来はあるのか。
今回の再編に伴い、海外の幾つかのスタジオの閉鎖などを含む300名規模のリストラを経て、セガは「セガゲームス」と名を改めて再出発した。
※下記エントリ参照
とはいえ、事業の中心は、冒頭の記事にもあるように「国内ではモバイル中心、海外ではそこにPCも含む」といったところで、コンソール事業がどうなるのかはいまいち見えてこない。というよりも、今まで通り国内では初音ミクと龍が如くを中心とした安パイ政策でいくのだろう。
そこには、かつて「信者」とまで言われた熱狂的なファンが憧れた「クールな挑戦者、セガ」の面影はもうない。
セガはドリームキャストの発売前プロモーションのCM内で、「セガなんてダセーよな」という台詞を自ら使った。
だが、その頃の方が、今のセガよりもずっとカッコ良かった。
現在は、セガという企業が何を目指しているのか、どこに向かおうとしているのかがわからない。
時代は変わったのだという人もいるだろう。だが、変わったのは時代だけではない。
セガは変わってしまったのだ。