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彼のコレクションを捨てたのは、仲が悪くなったからではない。彼の趣味は、2次元アニメ系でもわりとマス受けするほうだと思う。むしろオシャレとされるアニメだった。これならキッチンカウンターに並んでいても、インテリアになるかもレベルの。 でも、私は彼のコレクションへの扱いが不満だった。 凝り性の男性はものを買う。そして、その後ぞんざいに扱うことが多い。よくTwitterには美しく部屋いっぱいにフィギュアをディスプレイした写真がアップされるが、あんな美しい部屋、見たことがない。凝り性の男性の部屋は10人以上見てきたと思うが、どの部屋も積まれた本やDVDで遭難しそうだった。唯一の避難所は数年シーツが同じベッド。死ねと仰るのか? 私は物を長く使えない人間だ。靴はすぐすり減らして買い換えるし、衝動買いに後悔したことも多い。けれども、仮にコレクターを自負するなら「俺の嫁」は大切にできないものか。というかもう、元嫁〜初嫁までがごっちゃになり、さながら妻の廃棄施設。私って、ここに積まれるもう一つのゴミなのかしら?と被害妄想を起こしそうになる。 そして「これ、大事にしないなら捨てるよ」と警告すると、答えは決まってこうである。 「いつか片付けるよ」 「ええっ、これ以上片付けろと?」 「いやいや、これには整然と順番があってね(と汚れた衣類に埋もれた漫画を指差す)」 別に女性でもいきなり男のものを捨てる人は少ないだろう。 不毛なやりとりを繰り返し、共有スペースが衣類・生ゴミ・嫁でぐちょぐちょになった末、 捨てるぞ。 と、決意するのだ。 私はコレクター精神を愛してやまない。だが、愛するコレクションを大事に扱わず、日用品やホコリや生ゴミ(!)とごちゃごちゃにしておきながら、その上で捨てるなと言われても知るかと思っているだけだ。だが、コレクションをぞんざいに扱う人間のどれほど多いことか。 そして捨てた。といっても、勝手に処分したわけではない。ダンボールにまとめて、1度私の家へ引き上げたのだ。驚くことに、3日間ほど彼はコレクションの喪失に気づかなかった。あれだけ大事にしていたものがなくなったのに。数日後、彼とは大げんかになったが、私はもう別れると決めていた。2次元の「嫁」が消えて3日間気づかない人なんて、将来私が3日間消えても気づかないに決まってる。 これは約10年前の話だが、もし彼女や妻がコレクションを理解してくれないなら、一度考えてほしい。あなたの大事なコレクションは、きちんと「嫁」として扱われているのか。その扱いが「嫁」に対するものならば、3次元の「嫁」がどう思うかを。次元の違う嫁を大事にできないなんて、コレクターの風下にも置けないということを。 ⭐︎たまに2ちゃんで出てくる、きちんと美しくコレクションしているのに財産を捨てる人間については、ただの犯罪者だと思う。というか、私もコレクターなので許せぬ。 |
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