ここから本文です

半同居人、パパ解禁、2人芝居…SMAPが激アツ中

日刊スポーツ 5月5日(火)16時9分配信

 SMAP草なぎ剛、香取慎吾の二人芝居「burst!〜危険なふたり」(三谷幸喜作・演出、パルコ劇場)を見た。「10代の頃からの夢がかなった」。SMAPにいても25年以上かかったという夢の舞台は、2人の俳優力が激突する見応え、笑い応えだった。謎の同居人の存在をぶっちゃけたり、パパ役を“解禁”したりと、このところ異次元のステージに突入しているSMAPだけれど、メンバー同士が458の客席に向けてがっぷり組んで演劇、という挑戦も、刺激的な進化だった。

【写真】ウエンツ毒づき中居怒った「俺と木村だけじゃねぇ」

**********

 設定が一切明かされずスタートした舞台なので詳細は避けるが、タイトルが物語るコメディー。「慎吾と2人芝居をやりたい。三谷さんみたいな人が、ポンッと書いてくれないかな」。長年の夢を、ラジオ番組でつい口にした草なぎの“雑談”が三谷氏に伝わり、実現した。性格から役作りへのアプローチまで、何もかもが正反対という2人の個性を知り尽くした三谷氏が彼らにプレゼントした作品は、ヤマ場の連続。特に、普段は「明るい慎吾ちゃん」のイメージで役柄を振られることが多い香取を、まったく違う視点で立体的に演出しているのも、香取びいきの三谷氏らしいセンスだった。

 実際、2人ともどれだけの熱意で三谷氏の演出を受け、稽古に取り組んだのだろう。この作品には、普通の演劇にはない見せ方がいくつかある。見ている時は笑いっぱなしで気付かなかったけれど、帰り道で振り返ると、かなり高度なことをやってのけていたことが分かる。草なぎの舞台は何本か見ているし、昨夏は香取の「オーシャンズ11」も見た。素人目線で個々の舞台力は見てきたけれど、本作は、27年間一緒にやってきた2人の呼吸だからできる芸当が上乗せ。ゲラゲラ笑っていると、笑いでは済まないサスペンスもあったりして、あっという間の100分だった。

 今回の2人芝居もそうだが、今年のSMAPはいろいろな挑戦が目立つ。木村拓哉は「アイムホーム」でテレ朝連ドラに初進出し、ホームドラマのパパ役に初挑戦している。また、稲垣吾郎はお笑いタレントのバトルフィールド「すべらない話」にSMAPから初参戦。謎の半同居人の存在をぶっちゃけて、アイドル史に「こういうのもアリ」という新たな歴史を刻んだ。中居正広や草なぎは過去に結婚したいと考えた人が「いる」と明かし、自らを結婚不適合者だとするダメなエピソードをあけすけに披露し始めている。香取も昨年、「SMAP×SMAP」のフィーリングカップル企画で「小学生の頃からこの暗黒の世界で働いています。元気で明るいキャラクターでお仕事をして、お給料をもらっています」とダークな自己紹介をして、闇キャラをオープンにしていた。

 91年に西武園ゆうえんちで行われたデビューイベントを取材しているので、40歳を過ぎても第一線で人々の話題の中心にいる彼らのミラクルにしみじみと驚かされる。当時は音楽番組の衰退期。音楽もお笑いもやるジャニーズ版ドリフターズを目指して活路を切り開き、アイドルの新しい形を次々と体現してきた。今、男女さまざまなアイドルが踏んでいる活動のひな型は、すべて彼らが作ったものだ。猪木じゃないけれど、この人たちがやれば、それがすべて道になる。「おじさんの半同居人がいます」みたいなおもしろプライベートは今後タレントのスタンダードになるのだろうし、グループ内の2人芝居も活発になっていくかもしれない。

 座席数458。ドーム公演などとははるかに違う演劇空間で客席と向き合っているアラフォーのSMAP2人を見ながら、27年たっても変化を重ね、客へのガッツが尽きないプロの姿が頼もしかった。というか、ほとんど笑いっぱなしだったというのが正直なところで、偉そうなことも言えないのだけれど。

 「burst!〜危険なふたり」は、パルコ劇場で6月2日まで。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

最終更新:5月5日(火)16時57分

日刊スポーツ

 

高浜原発、差し止めの意味を考える

福井地裁が14日に、高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを命じる仮処分決定。決定の意味や司法が向き合う課題を考える。