だから言ったでしょ? 全売りでいいって。ネット広告企業の株は。

フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)が第1四半期決算を出したとき、売上高が予想に届きませんでした。

その直前に決算を出したグーグル(ティッカーシンボル:GOOGL)も、やっぱり売上高でミスしたので(ふむ、なんかヘンだぞ…ネット広告のセクターは?)と思いました。

案の定、それ以来、フェイスブック株にはアップティックの日はありませんでした。

fb

売って正解でした。

僕はニューヨークで機関投資家向けセールスの「駆け出し」の頃、悪い決算を出した後で慌てて損切るアメリカの機関投資家の様子を見て(なんだい、ダサい連中だな。悪い決算が出る前に売っとけよ)と思ったものです。

いまから思えば、その頃は僕も未だ青かった。

だから自分の判断力や分析力は常に過大評価し、市場が語りかけてきている事に耳を澄ます謙虚な態度が欠けていました

マーケットは、刻々と、そのときの市場参加者の期待を価格に織り込んでゆきます。つまり場で付いている値段は、常にその期待の総和を反映したものであり、効率的(efficient)なのです。

決算が良かった、あるいは悪かった……という理由で、その後の株価が動いたのなら、それはマーケットが織り込んだシナリオとは違う展開になったのだから、自分以外にも、間違えた人間はゴマンと居るということです。

これは投資銀行のトレーディング・ルームに実際に座っていればすぐにわかる事だけれど、悪決算を出した企業の株には、売り伝票がドッと来ます。

そして、ここが大事なところだけれど、その翌日も、翌々日も、そのまた次の日も、売り伝票がワンサと来るのです!

つまり「機関は、一日では売り終わらない」ということ。

同じことは、買いについても言えます。

好決算と判った後で買う、あるいは悪決算と判った後で売る……これはカッコ悪いです。

「いや、こういう時こそ、買い向かうべき!」と主張すると、なんだか歴戦の兵士みたいな勇敢なオーラが出るわけです。だから、素人ほどそういう主張をする。

でも、相場というものは、そうじゃない。

プロ野球で「オレは打率10割だ」と主張すれば、周囲の皆がニヤニヤするでしょう。だって10割打者なんて存在しないからです。これは我々が経験的に知っていることです。

でも相場では「オレは百戦百勝だ」と主張すれば、それを信じるバカが必ず居ます。それはひとえに、そう言う方も、聞く方も、経験が浅いからです。

長くやっていれば、必ず見込み違いはあります。

その時に、意地を張らない、無理しないヤツが、最後には生き残るのです。

これは零戦のように、航続距離が最も長い飛行機が一番遠くまで飛べるのと同じです。

危険なサインが出ても意見を変えないのは、愚鈍なヤツがすること。

ムダを削ぎ落すこと。