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 習近平(シーチンピン)指導部が「依法治国」(法に基づく統治)のスローガンを叫ぶ中国。その一方で、法治や人権を人々の身近で支えるはずの弁護士への締め付けが強まっている。当局に拘束されたり、弁護士活動ができないようにされたり。それでも、民主社会の実現のためにと声を上げ続けている。

■裁判官に抗議して退廷、すると…

 「裁判官にたてついた仕返しでしょう」

 北京の程海弁護士(62)は昨年9月、「法廷の秩序を乱した」として資格停止1年の通知を受け取った。

 昨年1月、北京で開かれた人権派弁護士らの裁判で、裁判官に抗議して退廷したことが原因だった。公開の法廷以外で被告に会えないはずの裁判官が、こっそり会っていたと知ったからだ。「明らかに違法」と告発した後、司法局から3度調査を受けた。

 この1年は一職員として裏方の仕事をするだけ。収入は以前の3割に減った。それでも後悔はしていないという。「30年、50年先なのか分からないが、中国の法治も必ず世界に追いつく日が来る。多くの人が行動を起こすためには、まず知識と能力を持つ弁護士が行動しないといけない」

 中国では、弁護士は法律事務所に属さなければ事実上活動ができない。半年間無所属だと、いったん資格が停止される。このため、最近は事務所に圧力をかけるケースも出ている。

■上司に圧力も

 「事務所を変えてもらえないか」

 広東省深圳市の範標文弁護士(43)が事務所の上司から言われたのは昨年5月。上司が公安(警察)や司法当局から何度も面会を求められ、「範弁護士を別の事務所で働かせろ」と言われていたと知った。

 2年ほど前から宗教迫害や労働者の権利に関する案件を扱っていた。香港の民主派デモを支援して拘束された市民の弁護もしている。「自分を訪ねてくるのは仕方ないが、上司にまでやられては。事務所も耐えられなかったんでしょう」