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    かけはし2015.年5月4日号

「歯止め」などどこにもない!
海外での武力行使自由化だ



「戦争国家」法制上程を許すな

5・6月連続行動に起とう

安倍政権を打倒しよう

沖縄に続く民衆運動の奔流を


「改正一括法」
と武力行使の道


 四月二一日と二四日の自民・公明与党協議で、集団的自衛権容認の閣議決定、そして日米ガイドライン改定に対応した一連の戦争国家法案の内容がほぼ明らかになった。四月二四日の協議では計一〇本の法改悪案を「改正一括法案」とする条文案が了承された。これらの一括法案は新法案一本とともに、連休明けの五月一一日に正式合意され、五月一五日に閣議決定、その直後に上程される可能性が高い。
それではこの「戦争国家法案」の内容はどのようなものか。
第一は「武力攻撃事態法」の改悪である。ここでは「存立危機事態」なる概念を導入して、集団的自衛権を発動する。「日本と密接な関係にある他国」が武力攻撃を受け、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命及び自由、幸福追求の権利が根底から脅かされる明白な危機がある」際に、日本が武力攻撃を受けていなくとも、「密接な関係にある他国」を防衛するために武力行使が行われる、ということだ。「密接な関係にある他国」とはまず米国だろうがそれだけではない。たとえば米国と軍事的同盟関係を結んでいる諸国(たとえばオーストラリアなど)が攻撃された場合でも、自衛隊の戦争参加が可能となる。
この場合、注意しなければならないのは「我が国と密接な関係にある他国」が、先に武力攻撃を仕掛けた結果として、攻撃を受けた国が「密接な関係にある他国」に反撃し、日本がその武力紛争に加わるというシナリオも大いにあり得るということだ。
第二は「周辺事態法」の改悪である。これは「重要影響事態法」という名前に変えた実質上の新法である。ここでは「日本周辺」での「事態」発生の想定ではなく、まさに地球の裏側(たとえば最もあり得る場所としては中東、ホルムズ海峡、アフリカなど)で、「日本の平和と安全に資する活動」というあいまいきわまる名目を掲げて、武力行使=戦争を行うことが可能となる。

「国際平和支援法」
は海外派兵恒久法


第三は、新法としての「国際平和支援法」である。これは、従来テロ特措法、イラク特措法など、その都度、領域と期間を定めて自衛隊の海外派兵を行ってきたありかたを変え、「国際平和支援法」という派兵恒久法をつくるものだ。「国際社会の平和と安全」を名目に戦争する他国軍を自衛隊が、いつでもどこでも後方支援する活動が可能になる。この後方支援には武器弾薬の提供も含まれる。そしてここでも後方支援の対象となった国が攻撃を受ければ、自衛隊による集団的自衛権が発動されることは明らかである。
第四は、PKO協力法改悪である。ここでは国連の指揮下にない「人道復興支援」や治安維持活動にも自衛隊が参加することになる。さらに国連決議によらず、「国際機関や当事国の要請」によって行われる「国際連携平和維持活動」なるものに自衛隊が参加することも想定されている。この「国際機関」の中には国連機関ではないもの、たとえばEUなど多国間条約により成立した機関・機構も含まれる可能性がある。
それ以外のものを挙げれば船舶検査法を改悪した海上輸送規制法案がある。これは「旗国」の同意の下に自衛隊の艦船が、全世界で他国の船舶検査を可能とする法案だ。また有事法制の一部である「米軍行動円滑化法」の改悪。特定公共施設利用法改悪(港湾、空港、空域、電波などの民間利用制限)、「邦人救出」のための自衛隊法改悪、さらにいわゆる「グレーゾーン」(民間武装集団の離島の占拠など=緊急対処事態)に際し、警察や海上保安庁に委ねるのではなく自衛隊が対応して排除することを定めた自衛隊法改悪がある。
このように見ただけでも、集団的自衛権行使容認に基づく一連の「新安保法制」は、日米新ガイドラインとセットになったものであり、それはアメリカの戦争に「切れ目なく」参戦し、また米軍の実戦活動をアジア・太平洋全域、さらには中東・アフリカにいたるまで肩代わりする役割を引き受けようとするものであることは明白だ。
公明党は「国際平和支援法」に基づく自衛隊の海外派兵について国会での「例外なき事前承認」を付したことで「歯止め」になったと宣伝している。しかしこの「歯止め」はお笑い草である。たとえばこの国際支援法発動の「例外なき事前国会承認」という要件には、「七日以内に各院で議決するよう努めなければならない」という規定がついている。「努力要件」だとはいえ、この期間で十分な論議ができるわけはない。
それだけではない。「重要影響事態法」「新武力攻撃事態法」などにもとづく派兵には、「国会事前承認」を「原則」とするものの緊急時には「事後も可」という付帯条件がついているのであり、「国会事前承認」の規定が「歯止め」にはならない全くのザルであることは明らかだ。
「歯止めをかけた」という公明党のキャンペーンは、「やらせ」そのものだ。「切れ目のない戦争協力」を容認する限り「歯止め」はない!

「熱い夏」の攻防
に勝利しよう


日米ガイドライン改定、新戦争法案の国会上程、そして沖縄・辺野古への新基地建設強行は安倍政権の改憲戦略のなかにしっかりと位置づけられている。
安倍内閣は五月中旬にこの戦争国家法案を一括上程し、国会会期を「お盆」にまで延長させても必ずや成立させる構えである。
労働者・市民の運動にとって、昨年につづき正念場となる「長く暑い夏」がやってくる。
五月三日の憲法記念日集会の成功を皮切りに、「戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会」は五月一二日(午後六時半/日比谷野外音楽堂)の集会を予定している。文字どおり労働者・学生・市民の「総がかり」での闘いが始まる。
そして六月一四日に予定されている全国集会(詳細未定)から連日の座り込み行動が六月二四日(延長しない場合の会期末)まで連日繰り広げられるだろう。
沖縄、原発、TPPをふくむあらゆる領域の闘いと連携し、相互に結びつきを深めながら、戦争国家法案を通すな!安倍政権打倒の大きなうねりを作り出そう!  (四月二六日 純)

4.26 沖縄・辺野古に基地はいらない!

1000人でサウンドパレード

5.24国会包囲を成功させよう


 四月二六日午後四時に、渋谷・宮下公園に集まり、「沖縄・辺野古に基地はいらない! 4・26渋谷サウンドパレード」が5・24国会包囲ヒューマンチェーン実行委員会の主催により行われ、一〇〇〇人が集まった。
 主催者がパレードの意義について、次のように話した。
 「翁長沖縄県知事と安倍首相の会談があった。日本政府の言っていることはおかしいと感じる人々が増えた。少しずつ流れは変わっている。しかし、辺野古基地建設を辞めさせるにはまだ足りない、と沖縄とつながり、東京で日米政府に声をあげよう。音楽は多様性、対話を現している。安倍の言う唯一の解決策は辺野古への新基地建設だなんてありえない」。
 「五月三日の憲法集会へデモで辺野古新基地反対の梯団を作る。五月二四日には一万人の国会包囲、島ぐるみ会議呼びかけのカンパも広がりができ始めた。ぜひ参加を」。
 続いて名護市出身の青木さんが「一九六六年にパスポートを持って沖縄から日本に渡った。その当時、すでに辺野古に新基地の計画があった。自治権・主席公選を求める闘いが繰り広げられ、一九六八年に屋良朝苗さんが当選した。沖縄は琉球処分・沖縄差別に対して闘ってきた。尊厳をかけて人権の回復をかけて闘っている。山城博治さんが病に倒れているが病気を快復して闘いに復帰するだろう。首都圏の闘いが重要だ」と檄を飛ばした。
 辺野古リレーの仲間二人が沖縄現地に行った報告をした。
 「一月、三月にキャンプ・シュワブ基地前の座り込みに参加してきた。カヌー隊の闘い、ゲート前の二四時間の闘いが続いている。現地の人からは『現地に来てほしい。そして見たことを住んでいる所に持ち帰り、発信してほしい』と託された。東京を変えれば工事は止められる。力は弱いが無力ではない。毎日、歌と音楽、笑顔がある。毎週火曜日、新宿と渋谷で行動している。参加してほしい」。
 「派遣カンパをもらっているので、沖縄に行きたい人には飛行機代を出している。行ける人は連絡してほしい。私たちが安倍政権を止めれば、世の中変えられる。もっとがんばろう」と若者らしく元気にアピールした。
 島ぐるみ会議へのカンパ八万四千余円が集められた。簡単な集会の後、渋谷駅・原宿駅をぐるり一周するサウンドデモを出発させた。先頭にサウンドカーが音頭をとり、デモ隊の中にも楽器隊が入り、にぎやかに、「基地はいらない。辺野古に作らせない。高江に作らせない」と訴えた。道行く人ものりのりで体をゆらせて呼応する人たちも多く見かけた。五・二四国会包囲にむけて、そして、工事の本格着工を阻止するための闘いの新たな一歩を踏み出した。     (M)


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