<憲法記念日>保阪氏「私たちの戦後否定」、改憲の動き批判
毎日新聞 5月3日(日)20時30分配信
◇南野氏「今までの自民党政治と違う」
ノンフィクション作家の保阪正康氏と九州大教授の南野森(みなみの・しげる)氏が3日、東京都内で開かれた憲法記念講演会で基調講演を行い、ともに安倍政権が進める改憲の動きを批判した。
【施行から68年】日本国憲法どこへ?問い直される「理念」
保阪氏は、軍が政治をコントロールし、特攻や玉砕など異常な作戦を国家のシステムとして採用した戦前の日本への反省を今の憲法の中に読み込み、(戦争を放棄した)非軍事憲法から、本当の意味での平和憲法としていくことが重要と訴えた。そのうえで「他の国が(憲法を)何回変えているかは全然関係ない。私たちの国は私たちの国。(戦前懐古的に)後ろに戻ろう、戻ろうというのは改正ではなく否定だ。私たちの戦後を否定するのか」と改憲の動きを批判。「憲法を変えようとしている人たちより、はるかに今の憲法がいい。今の憲法を100年間(2047年まで)持たせよう」と提案した。
南野氏は、安倍政権が集団的自衛権の憲法解釈変更に向けて内閣法制局長官を交代させたことについて「憲政の常道に反する」「本来の保守政権なら、伝統とか先人の知恵、解釈の積み重ねを保守すべきだ」と主張。安倍政権では「今までの自民党政治とは違う様相が生じている」などと指摘した。
さらに、集団的自衛権容認など憲法解釈の変更について「9条と現実の乖離(かいり)はそろそろ限界で、そろそろ正面から自衛隊の存在を憲法に書いてコントロールしないと危ない、という主張が説得力を増すのではないか」と認めつつ、「そういう主張をお前(自民党)が言うな、という話をしたい。日本の歴代政権が9条のもとで、ぎりぎりの理屈で自衛隊を作り、拡大し、世界展開してきた。そういうことをやってきた人たちが、『9条を書き改めて縛りをかける』といって信じられますか」と話した。【尾村洋介/デジタル報道センター】
最終更新:5月3日(日)21時12分
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