グーグルが採用面接で聞く質問リストとは
2015/05/05, Business Insider
すぐに効果が出る
企業の採用面接では、自然な会話の流れから相手の強み(または弱み)を見極めたり、奇をてらった質問をして相手の反応を観察しようとする面接官が少なくない。
そんなのは全然ダメだと、グーグルのラズロ・ボック上級副社長(人事担当)は新著『Work Rules!』で語っている。
重要なのは、職種に合わせて体系的な質問をすることだとボックは言う。そして、このルールは、会社の規模や業種にかかわらず当てはまるという。
ボックは著書の中で、1998年のある研究論文を引用している。過去85年間のアメリカ企業の雇用データに基づき、どんな選抜方法が最も適切な人材の採用につながるかを数値化したものだ。
それによると、一番効果的なのは、知能テストと実際の業務テストの組み合わせ。そして2番目に効果的なのは、知能テストと体系的な面接の組み合わせだった。逆に体系的な質問をしない面接で採用された者は、その後のパフォーマンスに大きなばらつきがあることがわかった。
ボックによると、グーグルは「キュードロイド(qDroid)」という社内ツールを使って、募集する職務に応じた質問リストを作成している。質問内容は、過去に実際にあったシチュエーションと、架空のシチュエーションへの対処法を問うものになっているという。
この種の面接は質問づくりに時間がかかるし、どの質問が効果的か見極めるのにも時間がかかるため、やりたがらない企業が多い。
だが、その効果は時間をかけるだけの価値があるとボックは力説する。そして質問をイチからつくるのが面倒なら、アメリカ退役軍人省のWebサイトを除いてみるといいと推奨する。
ここには民間企業への就職を目指す除隊者向けに、面接で質問されそうな項目が列挙されていて、これが企業にも役に立つというのだ。
採用担当者は「これを(必要に応じてアレンジして)使うといい」と、ボックは書いている。「すぐに効果が出るから」
そこで退役軍人省がどんな質問をするべきか、ここでチェックしておこう。同じスキルでも、職務レベルによって質問内容が異なる点に注目だ。
クリエイティブな思考力
非管理職──過去1年間にあなたが上司にした提案を2つ教えてください。その案はどういう経緯で出てきたのですか。その後の経過はどうでしたか。
チームリーダー:同僚に良いアイデアがあるのに、あなた以外誰も耳を傾けようとしなかった時のことを教えてください。その時、あなたはどうしましたか。
中間管理職:あなた自身が始めたプロジェクトを教えてください。なぜそのプロジェクトを始め、その結果はどうなりましたか。プロジェクトから何を学んだかも教えてください。
上級管理職:あなたが実現した、組織の効率または有効性にインパクトを与えたクリエイティブな試みを教えてください。
顧客サービス
非管理職:同僚をサポートした時のことを話してください。どんなシチュエーションで、あなたはどんな役割を果たし、どんな結果になりましたか。
チームリーダー:組織内の顧客と呼べるのは誰かを教えてください。こうした内部顧客に提供するサービスを改善するために、あなたは何を具体的にしてきましたか。
中間管理職:迅速に問題を解決するために、現場のスタッフに意思決定の許可を与えた時、どのように伝えましたか。その成功例を教えてください。
上級管理職:顧客からフィードバックを集めて、組織の計画立案やサービス基準に反映させる作業をどのようにやってきましたか。具体的な例を挙げてください。
柔軟性・適応性
非管理職:仕事上、新しいプロセスを学ばなければならなかった最近の事例を教えてください。また、その時、最も難しかったこと、最も楽しかったことを具体的に教えてください。その新しいプロセスは、今どのように機能していますか。
チームリーダー:自分以外の人間に変化を起こさせるのが、あなたの仕事だった時のことを教えてください。あなたの役割はどんなもので、どんな行動を取りましたか。その結果は? もう一度やらなければならないとしたら、変えるところはありますか。
中間管理職:人員削減によって、仕事量の見直しが必要になった時のことを具体的に教えてください。どのように見直しを進めましたか。誰にどのように手伝ってもらいましたか。その理由も教えてください。
上級管理職:困難な状況から抜け出すために、急な決断を迫られた時のことを教えてください。なぜそのような状況が起きたのですか。あなたの対応はどのような効果をもたらしましたか。
人間関係
非管理職:あなたが人に物事をうまく伝えていなかったなと感じたことを教えてください。その状況をどのように是正しましたか。
チームリーダー:頑固な同僚と仕事をしなければならなかった時のことを教えてください。相手の決断に影響を与えるために、どのように相手に接しましたか。
中間管理職:あなたが経験した最も難しい交渉を教えてください。あなたはどう行動し、あなたと相手にどんな結果をもたらしましたか。
上級管理職:あなたがプレゼンテーションスキルを駆使して、他人に影響を与えようとした時のことを教えてください。プレゼンテーションのためにどんな準備をしましたか。何を強調しましたか。それはどのように受け止められましたか。
組織に対する責任感
非管理職:あなたが自分の所属組織を擁護した事例をひとつ挙げてください。どのように擁護し、どのような反応がありましたか。
チームリーダー:組織の目標達成のために、チームの一員として活動した時のことを教えてください。あなたの役割は? あなたのチームはどのように協力しましたか。その結果も教えてください。
中間管理職:部下など、あなたのチームの1人が、期待以上の働きをした時のことを教えてください。あなたはどのように反応し、それを相手はどのように受け止めましたか。
上級管理職:あなたが影響力をもつ領域で、スタッフが自分は信頼されているとか、権限を与えられていると感じてもらえるように、どんなことをしてきましたか。その結果、具体的にどんな結果が得られましたか。
自分を磨く努力
非管理職:過去2年間にあなたが仕事上成長するためにやったことを3つ挙げてください。
チームリーダー:あなたのおかげで、スタッフや同僚が成長したと思える状況を説明してください。あなたの役割とその結果を具体的に教えてください。
中間管理職:監督として、社員に懲戒処分を科したり、叱責しなければならなかった経験がありますか。その懲戒処分はどのようなものでしたか。どのような措置を講じましたか。どのような気持ちでその措置を取りましたか。そのためにどのような準備をしましたか。
上級管理職:自分の仕事ぶりについて、部下にフィードバックを求めた時のことを教えてください。そのフィードバックをどのように活用しましたか。フィードバックによって、どのような変化がありましたか。
組織への貢献
非管理職:あなたが現在やっている仕事は、あなたの組織のミッションや目標にどのように影響していますか。自分の仕事は重要だと思いますか。重要だと思う(または思わない)理由は何ですか。
チームリーダー:現在のポジションであなたが起こした(または貢献した)組織上の変化で、あなたが誇りに思うものを教えてください。どのようにその変化を起こしたのですか。その変化はどんなインパクトをもたらしましたか。
中間管理職:あなたの職務領域または組織の実績を改善し、あなたのおかげで実現したと思う改革を教えてください。
(1)その改革のアイデアはどのような経緯で生まれたのですか。
(2)どのようにその改革を実現しましたか。
(3)スタッフはその改革にどのような反応を示しましたか。
(4)改革の結果をどのように測定しましたか。もう一度同じ事をするとしたら、どの部分を変えますか。
上級管理職:あなたが組織で下した決断で、組織外で予想外の結果をもたらしたものを具体的に教えてください。あなたはその結果にどう対処しましたか。
(執筆:RICHARD FELONI記者、翻訳:藤原朝子、写真:Bloomberg)
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