慰霊祭:戦死した1036人の特攻隊員悼む 鹿児島・知覧
毎日新聞 2015年05月04日 15時09分
太平洋戦争末期に沖縄戦への特攻基地があった鹿児島県南九州市知覧町の知覧特攻平和会館で3日、戦死した特攻隊員を悼む慰霊祭が開かれた。遺族や関係者ら約1000人が参列。特攻隊の生存者で悲劇を語り継ぐ活動に尽力し、先月90歳で亡くなった同会館の初代事務局長、板津忠正さんの遺族の姿もあり、戦死した1036人の冥福を祈った。
板津さんは1945年5月に出撃したが、エンジントラブルで徳之島に不時着した。その後2度出撃命令が出たが、いずれも大雨で出撃しなかった。戦後は名古屋市役所に勤務する傍ら、隊員の遺影や遺書、辞世の句などを全国から集め旧知覧町(現南九州市)に届けた。
退職後は同会館の事務局長を務めたり、語り部活動に取り組んだりした。生前、妻の久子さん(85)に「慰霊祭に行くのは70年目が最後」と話していたが、かなわなかった。
この日は雨。遺影を携え参列した長男の昌利さん(57)は「父の思いは重過ぎて推し量ることができない。雨男だったので、慰霊祭はどこかで見ていたのかもしれない」と話した。【津島史人】