2005年、NHK記者が連続放火するという国民誰もが想像だにしていなかったような事件が発生した。
朝日の報道から転載する。
2005年11月6日
NHK記者が連続放火供述 滋賀県警、未遂容疑で逮捕
大津市の住宅街で4〜5月に起きた計11件の放火とみられる火災をめぐり、滋賀県警と大阪府警は
5日、NHK大津放送局記者の笠松裕史容疑者(24)=大阪府岸和田市、休職中=を岸和田市内の非現住
建造物等放火未遂容疑て逮捕した。調べに対し、逮捕容疑のほか、大津市での火災についてもすべて
関与を認め、「いろいろ悩んでいた」「誠に申し訳ないことをしました」などと供述しているという。
調べでは、笠松容疑者は6月5日午前1時すぎ、岸和田市内の建築中の家屋に放火しようと段ボール箱
に火をつけた疑い。同容疑者の周辺を調べていた滋賀県警の捜査員が見つけ、すぐに消し止めたという。
連続放火は4月23日〜5月15日にJR大津駅近くで起きた。5月15日には午前2時10分ごろに大津市で民家
が全焼したほか、その前後約40分間に半径約100メートルの範囲で6軒の住宅の網戸や外壁のポスター、
竹やぶが焼けるなど計8件の火災が発生。4月23日と5月1日、同9日にも近くで1件ずつ起きた。いずれも
けが人はなかった。
同容疑者は5月15日の連続放火の現場付近で職務質問され、4月の現場にもいたことから、滋賀県警が
注目。11月5日朝から任意同行を求めて取り調べていた。
滋賀県警などは同日、NHK大津放送局などを捜索し、パソコンなどを押収した。
大津放送局によると、笠松容疑者は昨年4月にNHKに入局。滋賀県警などを担当していたが、今年4月
中旬から体調不良を訴えていた。
同局は、同容疑者に放火の嫌疑がかけられていることを逮捕前から認識していたが、同容疑者の体調
を考えて調査はしなかったなどと説明している。
○燃える様子、携帯で撮影
笠松容疑者は、4月23日午前4時すぎに大津市の民家の新築現場で起きた火災で、付近を歩いていて
気づいたとして消防への第一通報者になっていた。この民家の隣に住む夫婦にも声をかけ、一緒に
消火器で火を消し止めたという。
5月15日午前2時すぎに同市内で民家が全焼した火事の現場では、笠松容疑者が携帯電話で燃える様子
を撮影していた。
笠松容疑者は、大津放送局で警察を担当していた。若手記者同士が集まった酒席では「災害の取材を
したい」などと話していた。
だが、局内の人間関係に悩んでいた様子で、記者クラブで泣いていたこともある。「休みがほとんど
なく、泊まり勤務も大変だ」「社内で全く評価されない」と他社の記者に愚痴をこぼす場面もあった。
○「本人の否定、信じた」大津放送局長
5日午後8時からNHK大津放送局で記者会見した秋山秀樹・大津放送局長、加藤幹夫・同局放送部長らに
よると、笠松容疑者は4月中旬に「体調が悪い」と言い出し、それ以降は週3日休み、4日出勤するという
状態だった。未明に連続放火があった5月15日の前日まで公休と代休で5連休をとり、16日以降は出勤し
ていなかった。「精神状態が不安定で仕事を続けるのが難しいのでは、という当時の局長の判断だった」
という。大阪府内の病院に入院、10月26日に退院した。
未明に放火があった5月15日夕には、笠松容疑者から「警察に放火について疑いをかけられている」と
放送局に電話があった。当時の大津放送局長が同日深夜、事情を聞いたが、「14日夜は数軒で飲んだ」と
言う一方、「自分はかかわっていない」と説明。秋山局長は「本人の口からやったという証言が得られて
いないので、信じていた」と話した。
しかし、滋賀県警はその後も笠松容疑者のタクシーの使用状況や勤務実体を同放送局に問い合わせて
いた。秋山局長は「NHKとして、警察の捜査を見守るという立場でやってきた。捜査のためにも治療を優先
した」「『もう少し回復するまで控えてほしい』という医師の指示があり、事件について尋ねるのは控え
た」と話した。
○「NHK会長「厳正に対処」
NHKは5日夜、橋本元一会長の「報道に携わる者が、このような犯罪を引き起こしたとして逮捕されたこと
は極めて遺憾で、心からお詫び申し上げます。処分については、捜査の進展を見ながら厳正に対処したい
と考えています」との談話を発表した。6日午前11時から総合テレビで放送する「永井多恵子のあなたと
NHK」の冒頭で、橋本会長が陳謝し、同日午後2時から記者会見することも明らかにした。
NHKには5日午後11時までに181件の電話があり、その大半が批判などだったという。
2005年12月10日
放火容疑の記者、懲戒免職処分に NHK
NHKは、現住建造物等放火の疑いで滋賀県警に逮捕された大津放送局記者の笠松裕史容疑者(24)を懲戒
免職処分にすると、9日発表した。本人に同日、郵送で通知し、異議がなければ16日付の処分となる。
NHKは同容疑者と接見できていないが、大津市内での一連の放火容疑を認める供述をしているとの警察
発表があったことから、処分を決めたという。NHKの木内美明人事部長は「重大な容疑をかけられている
職員をそのまま在籍させておくのは、視聴者への説明ができない」と話した。
2006年4月1日
大津地検 NHK元記者を放火罪で起訴
大津市の民家に火をつけて全焼させたなどとして、大津地検は31日、元NHK大津放送局記者、笠松
裕史容疑者(24)=懲戒免職=を現住建造物等放火と非現住建造物等放火未遂罪で起訴した。専門家に
よる約3カ月半の精神鑑定を終え、刑事責任を問えると判断した。
2006年5月23日
元NHK記者側 責任能力争う
初公判、放火認める
大津市で昨年4〜5月にあった民家や建築中の家屋の連続放火事件で、現住建造物等放火罪などに問わ
れた元NHK大津放送局記者、笠松裕史被告(24)=懲戒免職=の初公判が23日、大津地裁(長井秀典
裁判長)であった。笠松被告は「火をつけたが、大きくするつもりはなかった」と述べた。弁護側は「
建物に燃え移らせる意図はなかった」としたうえで、「犯行当時、躁状態にあった」として責任能力に
ついて争う姿勢をみせた。
検察側は冒頭陳述で、笠松被告が原稿で固有名詞を間違えたり、取材でうその報告をしたりして、先輩
記者や上司に怒られることに耐えられなかったと指摘。放火の動機について「(昨年4月23日に)たま
たま通りかかった家屋の敷地にあった廃材に「火をつけたら気が紛れるかも」と考えてライターで放火し
、高揚感を得たため、その後も続けた」とした。
2007年2月3日
元NHK記者弁護側が控訴
大津・連続放火
大津市などで05年4〜6月、連続放火をしたとして現住建造物等放火などの罪に問われた元NHK大津
放送局記者、笠松裕史被告(25)=懲戒免職=の弁護側は2日、懲役7年を言い渡した一審・大津地裁の
判決を不服として大阪高裁に控訴した。
弁護側は「家屋を燃やす意図はなかったのに、『燃えてもかまわないと思って火をつけた』とした判決
には不服だ」などとしている。
〈管理人〉
11月25日に処分保留となったとの報道もあったと思うが、07年2月3日以降に報道があったかどうか記憶に
ない。大阪本社版の地域でないためであろうか。朝日の大阪本社にでも聞いてみる必要がある。NHKの
大津放送局ではまあ教えてくれないでしょう。
このままでは無責任なバカガキどもと同じになってしまう・・・。
朝日の大阪本社に確認したところ、最終的に2007年9月20日懲役7年の実刑が確定したとのことである。
これでこの項は完璧だ。良かった良かった。インターネットの匿名性をよいことに、あまり無責任な内容を
載せてはいけない。場合によっては人権を侵害することにもつながる。