患者を生きる

イラスト:ALTタグ拡大自らの闘病体験を語る原千晶さん。「講演で話すことで、気持ちも整理できる」=西田裕樹撮影

迷える30歳、腹部に痛み

 テレビの情報番組でコメンテーターなどを務めるタレントの原千晶(はらちあき)さん(40)。千葉県内で2月に開かれた講演会で、2度のがんの闘病経験を語り、がん検診を受けることの大切さを訴えた。

 「みなさん、私は悪い例です。どうか『原千晶』にならないようにしてください」

 1994年、20歳で芸能界にデビューした。登竜門とされたキャンペーンガールに選ばれた。テレビの情報バラエティー番組の司会を務め、映画やドラマにも出演。無我夢中で20代を駆け抜けた。だが、30代を前に行き詰まった。

 ヒット曲がある歌手でも、賞を取った女優でもない。「テレビに出て、北海道のおばあちゃんにたくさん見てもらいたい」。ただそんな思いで仕事を続けてきた。

 芸能界でどんな方向性を切り開いていけばいいのか。いつかは結婚し、子どもを産みたい。先が思い描けずに悩み、疲れていた。仕事も減っていった。2003年から約1年間仕事を休んだ。

 久しぶりにゆったりとした時間を過ごしながら、進む道を模索した。体に異変が出始めたのはそんな04年夏ごろのこと。30歳になっていた。そろそろ仕事を再開しようかと思い始めたころだった。

 毎月の生理は来るが、経血の量が多い。おなかが痛み、生理中でなくても出血があった。赤茶けたような色のおりものも出るようになった。

 様子がおかしいと思いながらも、病院には行かなかった。重い生理痛は以前からあったし、30代になったこともあり、「年齢のせいかな」と考えた。

 だが、症状はさらに悪化していった。生理中でなくても、下腹部に激しい痛みを感じるようになった。鎮痛剤を飲んでも、すぐにまた痛くなる。「病院に行ったほうがいいよ」。友人の言葉に背中を押され、年末にやっと東京都内の婦人科クリニックを受診した。

 内診した医師に言われた。「子宮の入り口の頸部(けいぶ)に、1センチちょっとのできものがあります。恐らくそれが悪さをしているのだと思います」。大きな病院で検査をした方がいいという。

 「一体、何なんだろう」。一抹の不安がよぎった。

(伊藤綾)
(朝日新聞 2015年4月24日掲載)

 

イラスト:ALTタグ拡大20歳で芸能界にデビューしたころ。がんが見つかったのは、その10年後だった=所属事務所提供

いつか出産、信じてたのに

 タレントの原千晶さん(40)は2004年12月下旬、耐えきれないほどの下腹部の痛みで婦人科を受診し、子宮の入り口(頸部〈けいぶ〉)にできものが見つかった。詳しい検査を受けるため、東京慈恵会医科大病院(東京都港区)へ行った。

 検査の後、婦人科医の落合和徳(おちあいかずのり)さん(66)から、診断を確定させるために「円錐(えんすい)

この記事の続きをお読みいただくためには、アピタルのご購読手続きが必要です。

  • ご購読申し込み
  • ログインする

朝日新聞デジタル購読者の方なら手続き不要

「朝日新聞デジタル」を有料購読中の方は、ご利用中のログインID・パスワードで
アピタルのコンテンツをお楽しみいただけます。

朝日新聞デジタルのお申し込みはこちら

バックナンバー

記事一覧へ

Facebookでコメントする

ご感想・ご意見などをお待ちしています。
ご病気やご症状、医療機関などに関する個別具体的なご相談にはお答えしかねます。あらかじめご了承ください。

ページトップへ戻る

サイトポリシーリンク個人情報著作権利用規約特定商取引会社案内サイトマップお問い合わせヘルプ