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九州各地で憲法改正求める声
日本国憲法施行から3日、68年を迎えた。北朝鮮による拉致被害者らの再調査は一向に進展がなく、中国はアジア太平洋地域で強圧的な海洋進出を加速させる。緊迫する国際情勢を背景に、自民党が来夏の参院選後の「憲法改正発議」を目指しているだけに、九州・山口でも憲法改正を求める声が高まった。
◆福岡
日本会議福岡は「憲法講演会」を福岡国際ホール(福岡市中央区)で開いた。講師の米国在住の軍事社会学者、北村淳氏は「今は日本が戦争を仕掛けられる状態にある」と述べ、憲法改正を急ぐよう訴えた。
北村氏は「激変する軍事情勢-わが国の防衛はいかにあるべきか」と題して講演した。海洋進出を加速する中国の軍事事情を説明した上で、「日本で(憲法)9条が話題になると、『戦争をする国になる』という表現が聞こえてくる。だが、国際情勢を見れば、日本が進んで戦争を仕掛ける状況はなく、今は日本が戦争を仕掛けられる状態にある」と語った。
また、「日米同盟はあるが安心というわけにはいかない。自主防衛の努力を始めなければ、手遅れになる可能性がある」と述べた。
今年で15回目の憲法講演会には、約450人が参加した。日本会議福岡の松尾新吾会長(九州経済連合会名誉会長)は「法整備の根幹をなす憲法を日本人自らの手で策定しなければ、独立国というに値しない」と主張した。
◆熊本
熊本県では、憲法改正を目指す国民運動組織「美しい日本の憲法をつくる熊本県民の会」の結成大会が、ホテル熊本テルサ(熊本市中央区)で開催された。県内の保守系団体や経済界、自民党県連などから550人が参加し、憲法改正の機運を盛り上げる方針を確認した。
県民の会共同代表を務める村上寅美県議(自民)が「安倍政権誕生以来、憲法改正の機運が高まってきた。熊本から国民運動を盛り上げていきたい」とあいさつ。年内に12万人分を目標として賛同署名を集めるなどの運動方針を決めた。
その後、杏林大名誉教授の田久保忠衛氏が記念講演した。田久保氏は「中国という“怪獣”をどうするのか、日本国民全員で考えなければならない。全国的に憲法改正の動きが起こる中、今後の世界にどういう影響を与えるかを考えてほしい」と述べた。
県民の会は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(櫻井よしこ氏ら共同代表)と連携する地方組織で、この日は熊本のほか広島、徳島両県で結成され、全国13県に拡大した。
◆佐賀
日本会議佐賀は、佐賀市民会館で、明星大教授、高橋史朗氏を招いて講演会を開いた。高橋氏は「憲法の家族条項について考える」と題し「最後のよりどころは家族であり、もう一度家族の再構築を行い、失われた伝統を取り戻すべきだ」と語った。
また、日本会議佐賀などは、憲法改正に向けた世論を喚起しようと、「美しい日本の憲法をつくる佐賀県民の会」結成準備会を発足させた。
◆大分
「美しい日本の憲法をつくる大分県民の会」準備委員会は、大分市金池南のホルトホール大分で講演会を開いた。日本政策研究センター所長の岡田邦宏氏が講演し「現行憲法には緊急事態に関する条項がなく、大災害など想定外の事態に対処できない。国民を守れない憲法はすぐに改正すべきだ」と訴えた。