【ソウル=峯岸博】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は4日、青瓦台(大統領府)の首席秘書官会議で、歴史問題で日本政府を引き続き追及するとしながらも「我々の外交は歴史問題に埋没せず、別の次元の目標と方向を持って進めている。目標達成のために努力してほしい」と指示した。
従軍慰安婦問題で日本が韓国の要求を受け入れない現状や米国の意向を踏まえ、経済や安全保障などの分野では対日協力関係を強める意向を示したとみられる。安倍晋三首相と朴大統領の会談は就任以来、実現していない。韓国政府は慰安婦問題での日本側の歩み寄りが前提との立場を崩していないが、大統領発言を機に日韓関係が修復に向かうかが注目される。
朴大統領は同会議で、安倍首相が米上下両院合同会議の演説で慰安婦問題などに言及しなかった点に触れ「安倍政権が心からのおわびによって隣国との信頼関係を強める機会を生かせなかったことは、米国でも多くの批判を受けている」指摘した。一方で「日本が歴史を直視できないとしても、我々が解決できる問題ではない」とも語った。
朴大統領は4月27日に南米4カ国歴訪から帰国したが、過労による胃けいれんと咽頭炎の症状がみられるとして休養していた。4日の首席秘書官会議で1週間ぶりに公務に復帰した。
韓国の政界やメディアなどの間では、安倍首相の訪米や先の日中首脳会談を受け、韓国外交の孤立を憂慮する声や、対日外交の立て直しを求める意見が相次いでいた。
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