【東京】<ぶら〜り キャンパス>研究編 明星大 初年次教育で学生支援
高校までと大学での学びの違いや図書館の活用法、大人としてのルール、人間関係のつくり方など、大学生活を送る上での基本を新入生に教える「初年次教育」。明星大(日野市)特任准教授の鈴木浩子さん(54)ら明星教育センターのチームは、学部横断での初年次教育「自立と体験」を実践、研究している。 「自己紹介をしてみましょう」。本年度初回の授業。鈴木さんが理工、人文、経済、経営、情報、教育、デザインの全七学部の学生が入り交じった三十人余りのクラスに呼び掛けた。学生はグループごとに「東日本大震災を経験して、建築を学んで強い建物を造ろうと理工学部に入った」「スポーツ観戦が趣味」などと話し始める。最後に「身ぶり手ぶりを加えた方が相手に伝わると分かった」などと、授業で学んだことの振り返りを発表し合った。 自立と体験は、一年前期のみ、全十五回で、グループワークや発表を中心とした授業を行う。二回目以降、クラスメートの「他己紹介」をしたり、大学職員に取材してその内容を発表したり。初対面の人と対話して相手を理解することを体験し、そこから何を学んだか、次に生かせることは何かと考える。授業全体の終盤では、大学生活をどう過ごしていくのか、見通しを示す。「『明星大学生』になるための授業なんです」と鈴木さんは説明する。 二〇一〇年度にこうした形での「自立と体験」を始めて以来、留年や中退をせずに三年生、四年生に進級する学生の割合が上がってきた。授業がなければ接点のなかった他学部の学生と人間関係を築くことも、大学生活を通じて大きな財産になる。昨年受講した学生からは「さまざまな考えに触れて、自分のもつ考えの幅が広がった」といった感想が寄せられた。 鈴木さんは昨年の初年次教育学会で、これまでの実践の成果を発表した。「今はまだ、実績を積み重ねている段階。データの分析などを進めて、大学での初年次教育一般のあり方について提言していければ」 (林朋実) PR情報
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